(ブルームバーグ):米ヤルデニ・リサーチは、米政府債務の増大を巡って投資家の不安が強まっている兆候が見られると指摘した。ただ、米国債市場について現時点でパニックに陥る理由はないとしている。
同社によると、市場はハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)による借り入れ急増への懸念を強め、原油相場が再び上昇した場合に米連邦準備制度がインフレに対して十分な警戒姿勢を維持するかどうかにも疑問を抱いている。
創業者でチーフ投資ストラテジストのエド・ヤルデニ氏率いるストラテジストは18日付のリポートで「われわれはパニックボタンを押してはいない」と指摘。「ただ、『債券自警団』がそうする可能性があるかどうかを注視している」とコメントした。
ヤルデニ氏は、米国債利回りがわずか数カ月で4%から5%に急上昇した2023年夏を例に挙げた。最終的に5%の利回り水準は投資家にとって魅力的な買いの機会となり、同社は今回も先行き同様の機会があるのではないかとしている。

同社ストラテジストはリポートで、「米国債利回りは引き続き4-5%の通常のレンジ内で推移し、経済や企業利益に悪影響を及ぼすことはないとの見方を維持している」と説明。「ただ、利回りがこのレンジの上限に近づいている今、債券自警団の動きをこれまで以上に注視している」とした。
米10年債利回りは現在、政府の巨額支出やインフレへの懸念を背景に4.73%と、1年強ぶりの高水準付近にある。イランでの戦争が長期化して原油相場がさらに上昇すれば、物価上昇圧力が強まり、米利上げを後押しする可能性がある。一方、AIブームに伴い企業の借り入れが急増し、米政府とシリコンバレーが同じ資金を奪い合う状況となっている。
米金利の上昇は世界の資金をドルに引き寄せるため、1ドル=160円を超える円安進行を防ぐ日本の取り組みや、人民元相場の安定を図る中国の取り組みを複雑にする。米国債は世界中の債務価格の指標であるため、米金利の上昇は各国の国債や社債、住宅ローンの借り入れコストに波及するとヤルデニ氏は指摘した。

債券自警団、日英で活発化
ヤルデニ氏は1980年代、インフレを招くとみなす政府の政策に抗議する形で債券を売る投資家を表すため、債券自警団という言葉を生み出した。こうした売りによって債券相場は下落し、利回りは上昇するため、政府は財政規律を取り戻す方向への軌道修正を迫られる。
同社によると、最近数カ月は世界各地で債券自警団の動きが活発になっており、政府債務を巡る懸念が米国だけにとどまらないことを示している。ストラテジストによれば、経済規模に比べて債務負担が特に大きい日本と英国では、債券自警団の動きがとりわけ活発になっている。
原題:Yardeni Says Not Pushing Panic Button on Bond Vigilantes Yet (1)(抜粋)
(4段落目にヤルデニ氏のコメント、最後の二つの段落に背景を追加して更新します)
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