(ブルームバーグ):米大統領の和平担当特使ジャレッド・クシュナー氏はイスラエルのネタニヤフ首相に対し、イスラム組織ハマスが武装解除するまでパレスチナ自治区ガザからのイスラエル軍の撤退を求めないと伝えた。協議内容を知る当局者が明らかにした。ガザ和平合意が近く成立するとの期待は一段と後退しそうだ。
クシュナー氏は17日、エルサレムでネタニヤフ首相と会談した。前日にはエジプトでハマス指導者と協議していた。非公開の協議だとして匿名を条件に平和評議会の当局者が明らかにしたところによると、米国とイスラエルは、ハマスが完全に武装解除し、ガザ全域が非武装化されるまで、イスラエル国防軍(IDF)をガザから撤退させないことで一致した。
ハマスはこうした条件を拒否する可能性が高い。ハマスは、武器を放棄する前にイスラエルがガザから撤退すべきだと主張している。武装解除にはガザにある軽火器と重火器の全面的な廃棄に加え、ハマスの地下トンネル網の使用停止も含まれるという。
こうした行き詰まりは、クシュナー氏とトランプ米大統領の平和評議会がガザ合意をまとめる難しさを浮き彫りにしている。トランプ氏は7月下旬、ハマスの武装解除を巡り同評議会が合意に達したと発表したが、和平への期待はさらに後退している。
トランプ氏は13日夜、SNSへの投稿でこの合意を「恒久的な平和と安全保障に向けた歴史的な一歩」と称賛していた。合意案は、ハマスを武装解除し、ガザを新たなパレスチナ政府の統治下に置いた上で、イスラエル軍を撤退させる内容だった。
しかしネタニヤフ首相は平和評議会が示したロードマップを受け入れないと表明した。
クシュナー氏との会談後、ネタニヤフ首相府は、首相が平和評議会と「踏み込んだ建設的な」協議を行ったと発表した。
声明によると、イスラエルと平和評議会は、非武装化について「迅速に進め、ガザの復興が始まる前に完了すべきだ」との認識で一致した。また、武装解除と、ガザの衛生・公衆衛生問題をそれぞれ扱う二つの作業部会を設置することでも合意した。
ハマス政治局のメンバーは16日、クシュナー氏がロードマップは最終案であり、再交渉には応じないと確認したと述べた。ハマスが仲介国による公表に先立って協議内容を明らかにしない方針だったため、匿名を条件にブルームバーグに語った。
ハマスのハゼム・カセム報道官は17日、「トランプ大統領に対し、イスラエル政府が合意内容を順守するよう圧力をかけ、ガザ和平計画の次の段階を実行に移すよう求める」と述べた。
ハマスは、提案されている新たなガザ統治機構に重火器を引き渡す用意があるとしている。ただし、イスラエル軍の撤退とパレスチナ国家の樹立が条件だ。トランプ氏の提案では、新統治機構の下で、パレスチナ人個人が小火器を保有できるようにすることも盛り込まれている。
トランプ氏の当初案は、イスラエル軍がガザ地区から完全撤退するほか、ガザの完全な非武装化とハマス後の安定化を経た上で、将来のパレスチナ国家樹立について協議することを想定していた。トランプ氏の計画に基づく停戦の第1段階は昨年10月に実現したが、長期的な枠組みを巡る進展はほとんどなく、イスラエル軍は休戦ラインを越えて部隊を進めている。
原題:Kushner, Netanyahu Agree Hamas To Disarm Before IDF Leaves Gaza(抜粋)
--取材協力:Dan Williams.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.