レバノンでは先週末、イスラエルと親イラン・イスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘が激化した。6カ月近く続く中東紛争を終結させる取り組みに、新たな打撃となった。

イスラエル国防軍(IDF)は16日、レバノン南部で前日に行った攻撃により、ヒズボラ軍事部門の上級司令官、アブ・ハッサン・アラー氏を殺害したと発表した。イスラエルの攻撃で11人が死亡。イスラエルのネタニヤフ首相は、ヒズボラの攻撃で兵士3人が重傷を負ったことへの報復だったと述べた。

イスラエルは、パレスチナ自治区ガザでもイランの支援を受けるイスラム組織ハマスを攻撃した。また紅海では、イエメンのフーシ派が船舶を攻撃した。ホルムズ海峡でも複数の船舶が飛来物による攻撃を受けた。ヨルダン川西岸でも緊張が高まり、イスラエル人入植者によるパレスチナ人住宅の包囲が国際的な非難を招いている。ネタニヤフ首相は暴力行為を少数の過激派によるものだとしている。

レバノンでの戦闘再燃は、ヒズボラの武装解除やイスラエル軍の撤退などを定めた米国仲介の停戦を脅かすとともに、米・イラン戦争の終結に向けた交渉を一段と難しくしている。60日間の停戦はホルムズ海峡の管理をめぐる合意がないまま17日に期限を迎えた。イラン外務省のバガエイ報道官は同日、米国による停戦違反で60日間という期限は意味を失ったと述べた。

北海ブレント原油は先週初めから5%余り上昇し、1バレル=88ドルを超えた。ホルムズ海峡の早期再開の見通しが後退している。イランとオマーンは海峡の通航管理に関する航行マップを最終決定したとしているが、海峡の再開につながるとは限らない。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はイランとアラブ諸国の当局者の話として、イランが戦闘の小康状態を利用して、より広範な対立の可能性に備えていると報じた。イランは、イスラム革命防衛隊(IRGC)の軍に対する影響力を拡大し、主要な安全保障ポストに強硬派を起用。ミサイルとドローンの生産を加速し、域内の同盟民兵組織との連携も強化したという。

一方、ガザでの停戦をめぐっては、トランプ氏の娘婿で和平担当特使のジャレッド・クシュナー氏が今週、中東を訪問している。クシュナー氏は、ガザ停戦の第2段階を加速する方策について、仲介国のエジプト、トルコ、カタールと協議した。トランプ氏の計画に基づく停戦の第1段階は昨年10月に合意された。

AP通信が域内当局者とハマス当局者を引用して報じたところによると、クシュナー氏は16日、エジプトでハマス指導者のハイヤ氏と会談した。ハマスは、仲介国と米国主導の平和委員会に対し、今後の段階を定めたロードマップを承認するようイスラエルに「迫る」ことを求めた。

アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、ヨルダン、インドネシア、パキスタン、トルコ、サウジアラビア、エジプトの外相は16日、イスラエルがガザの和平に向けたロードマップを拒否したとして非難した。ロードマップではハマスの武装解除やイスラエル軍の撤退などを想定している。

8カ国の外相は、イスラエルの行動が「ガザでの戦争を終結させ、恒久的な平和に向けた条件を整えるためにトランプ米大統領が重ねてきた多大な努力を、直接的に頓挫させる恐れがある」と警告した。

原題:Lebanon Flare-Up and Gaza Strikes Dent Mideast Peace Prospects

(抜粋)

--取材協力:Patrick Sykes、Magdalena Del Valle、Alisa Odenheimer、Carla Canivete.

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