(ブルームバーグ):米国との停戦協議がこう着状態に陥る中で、イランは軍の再編を進め、対外的に強硬な姿勢を強めている。地域紛争の長期化にイランは備えている様相だ。
最高指導者モジタバ・ハメネイ師による一連の軍トップ人事は、「攻撃的ドクトリン」への転換を示していると、イスラム革命防衛隊(IRGC)の将官で、IRGC新司令官の顧問を務めるモハンマド・レザ・ナクディ氏が11日夜、国営テレビのインタビューで述べた。
「条件が整い、命令が下るなら、敵の領内での作戦が実行可能でなければならない」とナクディ氏は主張。今回の米・イスラエルとの戦争前のドクトリンは「主に防衛と国家の維持に基づいていた」とし、新たなドクトリンは大きく異なると説明した。
ホルムズ海峡を巡るイランと米国の協議に打開の兆しはほとんど見られていない。この重要な水路の管理を双方が主張し、相手が受け入れそうにない譲歩を互いに要求している。
戦争は6カ月目に入り、戦闘自体は落ち着いたものの、仲介役のパキスタンとカタールが目指す持続的な和平の実現はますます難しくなっている様子だ。
トランプ米大統領はここ数カ月、イランへの攻撃再開をちらつかせる一方で、停戦協議の進展に自信を示すなど、姿勢が揺れ動いている。12日には「ホルムズ海峡を完全に掌握している」とソーシャルメディアに投稿したが、イランは海峡を航行する船舶を攻撃することで、このような主張を繰り返し否定してきた。
トランプ氏は経済的に困窮するイランに資金はなく、軍は壊滅したとも再び主張。一方、ナクディ氏は国営テレビのインタビューで、イランの弾道ミサイル生産は急ピッチで続いており、使用のペースを「はるかに上回っている」と述べたが、詳細には触れなかった。
米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を開始する前は、世界の石油と液化天然ガス(LNG)のおよそ2割がホルムズ海峡を経由していた。現在も船舶の航行は続いているが、戦前を大幅に下回る通航量にとどまり、石油生産者はさまざまな迂回ルートを使ってエネルギーを世界市場に供給している。
パキスタンのハワジャ国防相は11日、イスラマバードでブルームバーグの取材に対し、米国とイランは「何らかの合意に近づいている」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。
また、12日にはパキスタンの対イラン交渉を率いるムニール陸軍元帥の補佐役であるナクビ内相が、ムニール氏およびシャリフ首相の親書をイラン指導部に届けたと、内務省が発表した。
米国とイランは6月に和平の暫定合意を結んだが、小競り合いや船舶の通航妨害が続き、事実上の効力を失っている。この合意には本合意に向け60日の交渉期間が定められているが、その期限は間もなく切れる。パキスタン外務省のアンドラビ報道官は12日、期限が延長される可能性に言及した。
米国のシャーマン元国務副長官はブルームバーグテレビジョンに対し、「こう着状態にあるのは間違いない」と指摘。
「米国がイランと恐らくオマーンによる自主的な通航料の徴収を認めるか、イランにとって十分な見返りと考えられるほどの制裁緩和や凍結資産の解除に応じない限り、ホルムズ海峡が持続的に開放されることはないと思う」との見解を示し、「恒久的ではないにしろ、少なくとも予見可能な将来にわたって、イランがホルムズ海峡を管理するというのが現実だろう」と語った。
アルジャジーラはこれに先立ち、カタール外務省報道官の話として、ホルムズ海峡で一部の海上輸送を再開するためのイランとオマーンの協議が進んだ段階に入ったと報じた。米国はイランの港湾に対する海上封鎖を再開したが、この協議の直接の当事者とはなっていない。
イラン国営IRIBニュースの報道によると、新たに最高国家安全保障会議(SNSC)の事務局長に任命されたモフセン・レザイ氏は、オマーンとの合意が成立するとしても、ホルムズ海峡全面再開に関する議論とは切り離されているとの認識を示した。イランが海峡再開に何を求めているのかは、引き続き判然としない。
原題:Iran Takes More Robust Military Stance With US Talks Frozen (1)(抜粋)
--取材協力:Golnar Motevalli、Carla Canivete、Murat Oztaskin、Joe Mathieu、Kailey Leinz、Alex Longley.
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