メモリー半導体メーカー各社は、いずれ訪れるブームの減速に備える新たな手段を見いだした可能性がある。株主への現金還元だ。

SKハイニックスは7日、株主還元計画の詳細を7-9月(第3四半期)に公表する方針を示し、株価は今週に入り6%余り上昇。規模で上回る同業サムスン電子も追随するとみられ、11日のサムスン株は4.1%上昇し、12日も一時8.8%高となった。ジェフ・キム氏らKB証券のアナリストは今週のリポートで、サムスンが近く株主還元を10倍超に増やすと予想されるため、株価の再評価が進む可能性があると指摘した。

両社はAI需要によるメモリー供給の逼迫(ひっぱく)を背景に、キャッシュフローが急増している。一方、メモリー価格の上昇ペースは鈍化し始めた。投資家が利益成長のピーク後を見据える中、自社株買いや配当が次の株価上昇の材料となり、株価を下支えする可能性がある。

テン・キャップ・インベストメントの共同創業者で主任ポートフォリオマネジャーのジュン・ベイ・リウ氏は「株価が大きく上昇し、メモリー市況のピークが意識される中、自社株買いは株価を支え、機関投資家をさらに呼び込むだろう」と指摘。「今後、自社株買いや特別配当がメモリー企業に定着する可能性がある」と述べた。

株主還元を重視する動きは、メモリー株に特有の問題が再び意識される中で進んでいる。製品価格が下落しなくても、株価が下落する場合があるというものだ。

トレンドフォースは、従来型DRAMの契約価格が2026年4-6月(第2四半期)に58-63%上昇した後、7-9月期のサーバー向けDRAMは13-18%の上昇に鈍化すると予想する。

メモリー株は過去、こうした局面で軟調になってきた。実際の利益がピークを付ける前に、市場が将来の利益予想の下方修正を織り込むためだ。SKハイニックスとサムスンの株価は、過去最高益を計上しているにもかかわらず、6月の高値からそれぞれ約50%、34%下落している。

ただ今回は、メモリーメーカーには長期供給契約という、景気循環の影響を和らげる新たな支えもある。これにより、持続的な株主還元が可能になるとみられる。

SKハイニックスは約10社の顧客と長期供給契約を結んでいると明らかにしている。サムスンは、複数年契約の対象が最終的に計画生産能力の60-70%に達すると見込む。米マイクロン・テクノロジーも6月末時点で16件の長期供給契約を締結していた。

こうした契約は需要の見通しを立てやすくし、利益のボラティリティーをある程度抑える効果がある。メモリーメーカーは利益変動が大きいため、投資家はこれまで、平準化したキャッシュフローを基準に企業価値を評価することに消極的だった。

半導体ブームが失速しつつある兆候は、今のところほとんどない。韓国の8月1-10日の輸出は前年同期比45%増加した。メモリー価格の上昇ペースが鈍っても、供給逼迫を背景に、メーカーには引き続きキャッシュを生み出す余地があることを意味する。

ドバイのアルケビウム・キャピタルのマクセンス・ヴィソー最高投資責任者(CIO)は「メモリー市況が成熟するにつれ、株主還元が次の大きな株価材料になり得る」と指摘。「サイクル序盤では、スポット価格の上昇や利益率拡大に株価が反応する。そうした上方修正が投資家のポジションやバリュエーションに十分織り込まれると、決算が予想を上回っても株価への影響は小さくなる。その段階で投資家は、実際にどれだけの現金が株主に還元されるかに目を向け始める」と述べた。

原題:Peak Memory Fears Put Focus on Samsung, SK Hynix Cash Returns(抜粋)

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