脱・中国へ 豪・ライナス社の躍進と新たな鉱床の確保
今や中国への依存リスクは明白であり、重要なサプライチェーンを一国に独占させないための闘いが始まっています。
そのリーダー的存在が、中国外で最大のレアアース加工拠点を運営するオーストラリアの鉱山会社「ライナス」です。同社はアメリカ国防総省と9600万ドルの供給契約を結んでおり、2025年5月にはついに中国による「重レアアース」の独占供給を打破することに成功しました。重レアアースは最も高価で需要が高く、高性能磁石の耐熱性を高める重要な資源です。ライナスは現在、中国以外で軽レアアースと重レアアースを大規模に生産できる唯一の企業となっています。

また、新たな鉱床の確保も不可欠です。世界のレアアースの約4分の1が埋蔵されているブラジルでは、アメリカの支援を受けたオーストラリア企業メテオリック・リソーシズ社が、15億トンものレアアース粘土が埋蔵される丘陵地帯でプロジェクトを進めています。中国とは違う独自の分離技術を開発し、環境に配慮した市場からの調達を目指しています。
一方、アメリカ自国内での投資も進んでいます。国防総省から4億ドルの出資を受けたMPマテリアルズ社は、今年後半にも重レアアースの分離精製が可能になると見込んでいます。イランとの紛争などで防衛システムや兵器の備蓄を猛烈な勢いで消耗しているアメリカにとって、兵器製造に欠かせないレアアースの国産化は極めて切実な課題です。

「5年後の勝利」に向けた長く険しい道のり
しかし、挑戦者たちには共通の課題が立ちはだかっています。中国は2万5000人の学生を抱える鉱山工学の専門大学を持ち、日々効率化を進めていますが、昨年アメリカで誕生した鉱山技師はわずか350人でした。専門性の高い供給網を再構築するには、技術や経験、人材といった産業の底力を取り戻す必要があります。さらに、中国には競合他社が地盤を固める前に採算を悪化させ、市場から追い出す力もあります。西側諸国は公的資金を投入して断固として企業を支え抜く姿勢を示していますが、道程は険しいと言わざるを得ません。
サプライチェーンの構築には時間と多大な努力が必要です。2010年に輸出制限を受けた日本でさえ、15年という歳月を費やしても対中依存度は90%から60〜70%程度への低下に留まっています。現実的な「5割ずつ」という調達目標を掲げたとしても、実現するのは2030年代初頭になるでしょう。

2026年には、中国以外の供給網に対し100億ドルの公的資金が投じられると予測されており、今はまさに大きな転換点です。今後5年という短期間で中国の独占体制を完全に打破するのは極めて困難ですが、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、日本、韓国、フランスなどでは、レアアース永久磁石の商業生産が一定の規模で始まろうとしています。5年後、これらの国々の製品が実際に大手メーカーへと出荷されていれば、それだけで世界にとっては大きな「勝利」なのです。