(ブルームバーグ):イランはホルムズ海峡の管理を巡るオマーンとの合意案で、米国およびイスラエル船籍の船舶の通航を禁止するとともに、敵対国に対して同海峡の利用を認める前に賠償を求める構えだ。イランの現地メディアが伝えた。
この合意案は、米国とイスラエルが2月にイランを攻撃して以降、大幅に制限されてきたホルムズ海峡の航行再開とエネルギー輸送の正常化に向けた重要な枠組みとみられている。
「これは、ワシントンには到底受け入れられないだろう。双方とも譲歩するどころか、要求を強めている」と、元米国務省高官で現在はアトランティック・カウンシルの上級フェローを務めるトーマス・ウォリック氏は述べた。
一方、トランプ米大統領は6日夜、交渉について「順調に進んでいる」と答えた。
世界全体で米国やイスラエル船籍の商船は多くなく、戦争開始以降、ペルシャ湾を出入りした船舶も限られている。船舶の所有・運航形態は複雑であるため、米国やイスラエルの資本や所有権が一部でも関係する海運会社までイランが対象とみなすのかなど、通航禁止措置をどこまで広く解釈するかは現時点では不透明だ。
いずれにせよ、トランプ氏がイランからの要求を受けて譲歩する可能性は低い。米軍が事実上イランを打ち負かしたと数カ月にわたり主張してきたためだ。上下両院の多数派を左右する中間選挙まで数カ月に迫る中、各種世論調査では今回の戦争への支持は大きく低下している。
イラン準国営ファルス通信によると、オマーンとの合意案の内容は現在、イラン議会で審議されている。また、イスラエル関連の貨物の通航を禁止する案や、保険や環境対策費用などのサービスに関する料金体系も盛り込まれていると報じた。
また、ファルス通信は6日、匿名の関係者の話として、イラン海軍がホルムズ海峡入口で「敵対的な標的」を攻撃したと報じた。詳細は明らかにしていない。
イランが米国船舶のホルムズ海峡通航を阻止しようとしているとの報道や、ホルムズ海峡でイランによる攻撃があったとの報道を受け、原油相場は上昇幅を拡大した。北海ブレント原油は1バレル=83ドルを上回り、米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は78ドル近辺で推移した。
米イランは合意間近だと示唆
米国とイランの当局者はここ数日、ホルムズ海峡を巡る何らかの合意が近いことを相次いで示唆している。イランへの大規模な攻撃を見送ったトランプ米大統領は5日夜にも、同様の認識を改めて示していた。
ただ、これまでにも合意が間近だとする見方は繰り返し浮上しながら実現しなかった経緯があり、今回のイラン・オマーン案だけでホルムズ海峡の通航再開につながるかは依然として不透明だ。イラン側の主要交渉担当者は6日、脅しと撤回を繰り返すホワイトハウスの姿勢を、「終わりのない茶番外交」と皮肉った。
米国はホルムズ海峡の自由航行を主張しており、イラン戦争前の状況に戻すよう求めている。米政府当局者は6日、イラン・オマーンの合意案に関する報道について、海峡の暫定航路はいかなる承認や許可、通航料、手数料の対象にもならないと述べた。
一方、イラン側は、ホルムズ海峡の全面的な再開には米国による海上封鎖の解除が必要だとしている。米国は、6月に合意したホルムズ海峡の再開などを盛り込んだ合意の条件を再び履行する用意があるのかどうか明らかにしていない。数週間で崩壊に追い込まれた前回の合意では、イラン産原油への制裁適用除外や、イランの凍結資産の一部解除が含まれていた。
ファルス通信がイラン外務省関係者の話として報じたところによると、オマーンとの合意案では、ホルムズ海峡に入る船舶についてはイランが管理し、海峡から出る船舶については両国が共同で監督すると定めている。また、船舶は「中央航路」を通航し、現在限定的に利用されている残る2つの航路については、一定期間内に利用を終了することを想定しているという。

一方で、戦火が中東全体に広がる中、恒久的な和平合意を阻む新たな障害も浮上している。
その1つが、イエメンの大部分を支配する親イラン武装組織フーシ派とサウジアラビアの衝突だ。フーシ派は6日、イエメン中部でサウジ支援の軍部隊に対して「大規模な」攻撃を実施し、数百人を死傷させたと主張した。現時点でサウジのコメントは得られていない。
フーシ派とサウジ主導の有志連合は2022年以降、停戦を維持してきたが、ここ数週間は紅海を含めて敵対行為が再燃している。
イスラエルと、レバノンの親イラン派武装組織ヒズボラとの対立も再燃の兆しを見せている。6月の米・イラン停戦合意では、レバノンでの停戦も条件となっていた。
原題:Iran Wants to Bar US, Israeli Ships From Hormuz in Peace Accord(抜粋)
(第4段落以降にトランプ氏の発言などを加えて更新します)
--取材協力:Meghashyam Mali、Michelle Jamrisko、John Harney、Sherif Tarek、Serene Cheong、松山かの子、Jon Herskovitz、Weilun Soon.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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