米国債トレーダーは、長期債の相場急落に備えるため数百万ドル規模の資金を投じている。大幅下落の場合、31兆ドル(約4890兆円)規模の米国債市場で一段と大きなボラティリティーを引き起こしかねない。

米国債利回りの上昇に備えるヘッジコストは先週以降急上昇している。長期債利回りが19年ぶりの高水準に上昇したことを受け、投資家は米10年債先物と30年債先物のプットオプション(売る権利)を積極的に買い進めた。

こうした取引は、米金融当局が先週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げを見送ったことを受け、インフレ抑制に向けたウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長のコミットメントに投資家が疑問を抱いたことを背景に広がった。

TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、モリー・ブルックス氏は「連邦準備制度は前回会合後、市場の信認を失った」と指摘。新たなフォワードガイダンスが示されない限り、「市場は経済指標や金融当局者の発言に一段と敏感に反応するようになり、高いボラティリティーが続くと予想している」と述べた。

米国債市場のボラティリティー指標「ICE BofA MOVE指数」は約10週間ぶりの高水準に達している。こうした動きを受け、オプション市場では10年債利回りが5%近く、30年債利回りが5.4%まで上昇することを見込む取引が増加している。これは現在の水準をそれぞれ約35ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、20bp上回る水準となる。

利回りが上昇基調に戻り、数年来の高水準を再び試す展開となれば、新たに積み上がった弱気オプションのポジションが一段の売りを誘発する可能性がある。権利行使価格が視野に入ると、リスクエクスポージャーをヘッジするためにディーラーが国債先物を売却し、市場の値動きをさらに増幅させる可能性がある。

ウォーシュFRB議長の7月29日の記者会見中には、オプション取引が活発化し、30年債利回りが5.3%前後に上昇することを見込む大口ポジションが確認された。

今月3日の取引でも、下落に備えるオプションの買いが続いた。ある取引では、約1000万ドルのプレミアムを支払い、30年債利回りが5.5%前後に上昇するシナリオを狙うポジションが構築された。これは現在の水準を約30bp上回る水準に相当する。

一方、現物の米国債市場でも投資家は様子見姿勢を取りやめ、資金を市場に振り向け始めている。JPモルガン・チェースの米国債顧客調査では、中立ポジションの割合が6月初め以来の低水準となる一方、強気・弱気の双方のポジションは数週間ぶりの高水準に増加した。

原題:Treasury Options Splurge Risks Igniting Bigger Market Turbulence(抜粋)

--取材協力:Cameron Fozi.

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