31日の米株式相場は続伸。一部の大手テクノロジー銘柄が買われ、主要株価指数を押し上げた。堅調な企業決算が好感された。

大手ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」の指数は3.2%高。クラウド事業の売上高の伸び加速を示したアマゾン・ドット・コムが15%上昇した。一方、アップルは7.4%安。

フィラデルフィア半導体株指数は0.1%高。一時は5.2%上昇する場面もあった。月間では2008年以来の大幅安となった。ハイテク銘柄の比重が大きいナスダック100指数は0.6%高。

サスケハナのアナリスト、シャム・パティル氏はアマゾンについて、「売上高の伸びが設備投資の伸びを上回り始める」とし、投資に見合う堅調なリターンを生み出せるとの見方を示した。

AI関連需要は依然として旺盛なものの、テクノロジー株は激しいボラティリティーにさらされている。過去数カ月に株価が大きく上昇していたため、高い期待が織り込まれ、わずかな失望でも売りにつながりやすい。7月は特定の投資ファクターに基づくクオンツ戦略にとっても厳しい1カ月となった。その一つが、値上がり銘柄は上昇が続きやすいという傾向を利用する「モメンタム」戦略だ。

HSBCホールディングスのマックス・ケトナー氏は「モメンタム戦略の巻き戻しは終わったのだろうか」と問いかけ、「モメンタム相場が再開すれば、株価は過去最高値を更新する可能性がある」と述べた。

ベスポーク・インベストメント・グループは、S&P500種は週間で1%高で終えたが、同指数の騰落率には水面下で起きていた激しい値動きが十分には反映されていないと指摘。

「投資家にとって最大の焦点は、AI関連セクターの下落が長期的な転換点なのか、それともポートフォリオのリバランスに過ぎないのかという点だ」と話した。その上で「企業決算は今回も非常に好調だった。一つの不確定要因は季節性だ。8月は株式市場が軟調になりやすい月として知られる。9月にはさらに悪化する傾向がある」と続けた。

ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、最近のボラティリティーはAIストーリーの根本が崩れ始めているというよりも、ポジション調整による動きのようにみえると指摘。ただ、AI関連にはレバレッジを効かせた投資が多いため、値動きが増幅されやすいと付け加えた。

国債

米国債は下落(利回りは上昇)。既に2007年以来の高水準にある30年債利回りは、一時5.28%に達した。債券市場を最近揺るがしたインフレ懸念が再び強まった。

10年債と30年債の利回りは今週の高水準を更新した。

この日の国債売りは当初、米金融政策見通しに敏感な短期ゾーンが先行したが、その後は長期的なインフレ見通しを反映しやすい長期ゾーンにも売りが広がった。原油価格の上昇も国債売りに拍車をかけた。

今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きに反対票を投じた連邦準備制度理事会(FRB)の当局者3人はこの日、インフレへの対応が遅れれば、将来的に一段と積極的な金融引き締めが必要になる恐れがあると警告した。

クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁の3氏はそれぞれ、据え置きに反対した理由を声明で説明した。

SMBCグループの金利ストラテジスト、モンティ・ガンジー氏は「投資家はインフレがしばらく高止まりするとみており、超長期債にはより高いリスクプレミアムを求めている」と指摘。「原油価格もリスク要因で、景気はかなり底堅い。不確実性が高いため、実需筋は超長期債の購入を控えている。インフレがさらに高進すれば損失を被る可能性があるためだ」と述べた。

RBCキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、アイザック・ブルック氏は「注目されていたテクニカル上の節目を上抜けたことで、市場は一時的な空白地帯に入っているような状況だ」と指摘。「夏場の金曜日というのも重なり、買い控えが広がりやすい条件がそろっている」と話した。

外為

外国為替市場で、円はドルに対して上昇。日本当局が再び市場に介入するとの観測が強まった。

ニューヨーク連銀は31日、米銀大手少なくとも2行に対し、ユーロ・円のレートを提示するよう要請した。事情に詳しい関係者2人が、非公開情報を理由に匿名で語った。

TDセキュリティーズのエコノミスト、アレックス・ルー氏は「円相場の反応が鈍いことから、市場参加者は追加介入を警戒するだろう」と述べた。

円は対ドルで一時1.4%高の1ドル=157円28銭まで上昇。円は対ユーロでも一時1.4%上昇した。

日本の通貨当局は30日に、約8兆4500億円規模の円買い介入を実施した可能性がある。これを受けて円は同日には一時3.3%急伸したが、日本銀行が金融政策決定会合で政策金利据え置きを決めた後に上げ幅を縮小した。

米CMEグループによると、30日の円急騰を背景に、円関連の取引高が約12年ぶりの高水準に達した。同日のドル・円の総取引高はCMEグループのプラットフォーム全体で約1580億ドル(約25兆2000億円)と、2014年10月以来の高水準を記録した。

ただ、介入の効果は限定的だ。円相場はここ数カ月で1986年以来の安値水準まで下落したが、原油価格の上昇や財政赤字、日米の大幅な金利差を背景に、依然として強い下落圧力にさらされている。

ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏は「結局のところファンダメンタルズが変化しない限り、介入の効果は一時的なものにとどまる可能性が高い」と述べた。

ロイター通信は事情に詳しい関係者の話として、米財務省が複数の銀行に対し、31日に円相場に介入する可能性があると通知したと報じた。

マイケル・ケーヒル氏らゴールドマン・サックスのチームは31日、介入について、「『持続可能な解決策』ではないものの有効であり、日本はこの政策を当面維持できるだけの十分な外貨準備を保有している」とリポートに記した。

原油

原油相場は反発。7月は月間ベースで3月以来の大幅な上昇となった。市場では、世界各地での紛争や、ペルシャ湾から黒海に及ぶ供給リスクが意識された。

トランプ米大統領はこの日、イランの交渉団に対する信頼を失いつつあると述べた。武力衝突が長期化し、中東からのエネルギー輸送が一段と混乱するとの懸念が強まった。ロシアの黒海沿岸にあるカスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)の積み出し施設やその周辺で原油積載船への攻撃が相次いだことも、相場を押し上げた。

7月はエネルギー市場が軒並み上昇し、北海ブレント原油は約24%値上がりした。ディーゼルや天然ガスなども大幅に上昇した。

7月には、米国とイランの暫定的な停戦合意が崩壊。イエメンを拠点とする親イラン武装組織フーシ派も戦闘に加わったことで、ペルシャ湾に加え、紅海の海上輸送リスクも高まった。さらに、サウジアラビア軍が米軍とともにイラクの親イラン武装勢力への攻撃に加わった。米国の原油在庫も減少が続いている。

カザフスタン産原油の輸出の大半を担うCPCを巡っても、安全性への懸念が残る。欧州の製油所は、CPCを通じて輸送される原油への依存度が高い。事情に詳しい関係者によると、CPCは31日、輸送を無期限で停止するかどうか協議した末、継続を決めた。一連の攻撃について犯行声明は出ていないが、ウクライナはロシア領の黒海でタンカーを攻撃したことがある。

TP ICAPのエネルギーアナリスト、スコット・シェルトン氏は「世界の需給は一段と引き締まり、米国の余剰原油や石油製品が需給調整に充てられている。その結果、数週間前と比べても、米国の原油在庫は実需ベースで一段と速いペースで減少している」と指摘。「要するに、米国の需給環境は全般に強気を示唆している」と述べた。

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物9月限は、前日比1.08ドル(1.3%)高の1バレル=84.67ドルで取引を終えた。北海ブレント先物の中心限月である10月限は、1.2%高の87.93ドルで取引を終えた。9月限はこの日が最終取引日だった。

金

金相場は反落。前日の円買い介入を受けた円相場の上昇が一服し、ドルが6営業日ぶりに持ち直したことが意識された。

金スポット価格はこの日、1オンス=4050ドル近辺まで下落。ただ、7月は月間ベースで上昇を維持して終わりそうだ。月間での上昇は2月以来となる。

金相場は5カ月前にイラン戦争が始まって以降、2割超下落している。エネルギー価格の高騰でインフレ圧力が強まり、金利が高止まりするとの見方が広がっていることが、利息を生まない金には逆風となっている。もっとも、ここ数週間は押し目買いも入り、1オンス=4000ドルの節目を上回って推移している。

市場関係者が注視しているのは、米金融政策の見通しだ。

ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は29日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後、政策金利据え置きの決定は当局が対応を怠っていることを意味するものではないと強調。「インフレ率が見通し期間を通じて高止まりするようであれば、金利はその対応策の一つになり得るが、それだけが手段というわけではない」と述べた。

BMOキャピタル・マーケッツのコモディティー(商品)アナリスト、ヘレン・エイモス氏はウォーシュ議長のメッセージについて、「エネルギー価格の影響を除けば、インフレは警戒すべき状況にはないということだ」と指摘。FRB議長が重要な政策演説を行うことが多い8月下旬のジャクソンホール会合が、金相場の次の大きな材料になる可能性があるとの見方を示した。

スポット価格はニューヨーク時間午後2時20分現在、前日比52.93ドル(1.3%)安の1オンス=4050.48ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は同53.60ドル(1.3%)安の4107ドルちょうどで引けた。

欧州

31日の欧州市場では、域内の国債が軒並み下落。原油価格が上昇し、インフレリスクが意識された。短期債の下げが大きく、利回り曲線はベアスティープ化した。

ドイツ2年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.82%。30年債利回りは5bp上昇して3.70%となり、5月19日以来の高水準に達した。

英国債も軟調で、2年債利回りは7bp上昇して4.41%となった。

株は朝方の上げを解消。ストックス欧州600指数は一時1%上昇したが、0.1%安で終えた。新薬候補が期待外れとなったデンマークの製薬大手ノボノルディスクが大きく売られたほか、決算が予想を下回った世界最大のレコードレーベル、ユニバーサル・ミュージックは上場来安値に沈んだ。

7月31日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Tech Stocks Power Wall Street Gains at End of July: Markets Wrap(抜粋)

US Stocks Rally to End a Turbulent Month; Amazon Jumps 15%

Treasuries Fall as Fed Dissenters Flag Risks, Oil Prices Climb

Yen Gains as US Banks Asked by New York Fed to Check Key Rate

Oil Posts Biggest Monthly Jump Since March as Iran War Simmers

Gold Dips as Traders Eye Dollar Recovery Against Yen, Fed Path

European Stocks Trim Monthly Gain as Novo Nordisk and UMG Slump

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