(ブルームバーグ):欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)の31日の発表によると、ユーロ圏の7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%上昇と、ブルームバーグが調べた市場予想の中央値と一致した。6月の2.8%から伸びが加速した。
米国とイランの停戦が崩壊し、原油価格が上昇したことが背景で、欧州中央銀行(ECB)が追加利上げを実施するとの見方が強まった。
7月はフランスやスペインでも予想を上回る物価上昇率となった。

ユーロ圏21カ国全体では、エネルギー価格が前年同月比10%上昇したほか、サービス価格の伸びや、エネルギーや食品など価格変動の大きい項目を除いたコア指数も加速した。
ECBは23日、政策金利の据え置きを決めた。政策当局者は、中東で再び激化した戦争がユーロ圏のインフレや経済成長に与える影響を見極めるため、時間を確保した形だ。エコノミストや投資家は、6月の0.25ポイントの利上げに続き、9月にも追加利上げが実施されると予想している。
ムーディーズ・アナリティクスでユーロ圏担当予測責任者を務めるカミル・コバル氏は、「今回の統計と7月中の中東情勢の展開を踏まえると、ECBは9月の利上げに向かうことがほぼ確実になった」との見方を示した。
ドイツ債は、発表前までの上昇分を失って下落し、10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.16%となった。短期金融市場では引き続き、9月に0.25ポイントの利上げが実施される確率を約90%と織り込んでいる。さらなる追加利上げへの見方もやや強まり、年末までに合計42bpの利上げが見込まれている。
政策当局者は9月の政策委員会会合までに、8月分のインフレ統計と、ECBスタッフが作成する最新の経済見通しを確認することになる。ラガルド総裁は23日、9月の利上げを事前に確約することは避けたが、ほかの政策当局者の一部は、今後の政策の方向性についてほぼ疑いの余地を残していない。
ECB政策委員会メンバーのシムカス・リトアニア中銀総裁は、利上げが行われる可能性は据え置きより「はるかに高い」と発言した。カジミール・スロバキア中銀総裁はさらに、「たとえ状況が多少改善したとしても」、ECBは少なくともあと1回は利上げを実施する必要があるとの考えを示した。

中東情勢を巡るシグナルは、現時点では入り交じっている。米国とイランが互いに空爆を再開した一方で、ホルムズ海峡を通過する船舶の往来は増加している。原油価格も1バレル=100ドルを下回っているものの、なお高い水準にある。
一方、ECBの調査では、賃金上昇率が、2027年初めにかけて加速する見通しが示された。政策当局者は、エネルギー価格の上昇がインフレ率の恒常的な高止まりにつながる兆候として賃金上昇率に注視している。
それでもユーロ圏経済は、この危機に対して顕著な底堅さを示している。30日に発表された4-6月期(第2四半期)の域内総生産(GDP)は1年以上ぶりの高い伸びとなり、市場予想の2倍のペースで拡大した。域内主要4カ国はいずれもプラス成長だった。
原題:Euro-Area Inflation Strengthens as US-Iran Strikes Boost Oil (1)(抜粋)
--取材協力:Joel Rinneby、市倉はるみ、Barbara Sladkowska、James Hirai.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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