(ブルームバーグ):7月28、29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きに反対票を投じた米連邦準備制度理事会(FRB)の当局者3人が31日、インフレへの対応が遅れれば、将来的に一段と積極的な金融引き締めが必要になる恐れがあると警告した。
クリーブランド連銀のハマック総裁は「高いインフレが長引くほど、それを抑えることはさらに困難になり、そのコストも大きくなり得る」とする声明を公表した。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も別の声明で、高インフレが定着するリスクに対応するため、「インフレと雇用の動向に関するデータを見極めながら、段階的に金融引き締めを進める方が望ましい」との考えを示した。
ダラス連銀のローガン総裁は、「早期に小幅な対応を講じれば、将来的により大幅な措置を講じる必要が生じる可能性を低減できるだろう」と声明で述べた。

FRBは9対3の賛成多数で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.5-3.75%のレンジに据え置くことを決めた。据え置きは5会合連続となる。だが、中東情勢の再緊迫化やAIを背景とする大規模な投資ブームを受けてインフレ圧力が再び高まる中、利上げを支持する当局者は増えている。
ハマック、カシュカリ、ローガン3氏の発言を受け、原油価格の上昇とともに米国債は下落した。
2年債から5年債の利回りは、29日の政策金利据え置き決定後に低下していた分の大半を戻した。10年債利回りは2025年1月以来初めて4.73%を上回り、30年債利回りは2007年以来初めて5.25%を超えた。
当初はFRBの政策見通しに敏感な短期債が売られていたが、その後は長期的なインフレ見通しの影響を受けやすい超長期債にも売りが広がった。
SMBCグループの金利ストラテジスト、モンティ・ガンジ氏は、「投資家はインフレが長期間高止まりしていると考えており、そのため長期ゾーンではより高いプレミアムを要求している」と述べた。
債券市場では、長期金利がさらに上昇するリスクに備えるためのプレミアムも3月以来の高水準となっている。
セントルイス連銀のムサレム総裁は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、今回の債券売りはFRBの信認維持に利上げが必要であることを示しているとの認識を示した。

ハマック、カシュカリ、ローガン3氏はいずれも今回の据え置きに反対し、政策金利を0.25ポイント引き上げるべきだと主張した。
現在のインフレを押し上げている要因としては、さまざまな供給ショックを挙げた。ハマック氏は、需要面からの圧力もあるとみていると述べた。カシュカリ氏は、1970年代後半-1980年代初頭と同様、FRBの金融政策は供給要因によるインフレにも有効だと指摘した。
ローガン氏は、供給面のショックや生産性の向上を考慮しても、インフレ率は「2%まで低下するのではなく、2%台半ばへ向かっているように見える」と指摘した。労働市場や個人消費、金融市場の状況は、金融政策が経済活動を抑制していないことを示しており、FRBが何も対応を講じることなく、物価上昇圧力が完全に和らぐ可能性は低いとの見方を示した。
ハマック、カシュカリ、ローガン各氏は、米国経済全体についてはなお堅調だとの認識を示した。
インフレ圧力
FRBが重視するインフレ指標である米個人消費支出(PCE)価格指数は、6月は前月比0.1%低下した。今月初めに発表された別のインフレ指標でも、ガソリン価格の大幅な下落を背景に同様の低下が確認された。だが、エコノミストらは、イラン戦争が再び激化し、7月に原油価格が上昇したことから、今夏前半に見られたインフレ鈍化は長続きしない可能性があると警告している。

ハマック氏は、物価上昇圧力を抑える上で、現在の金融政策は「適切に抑制的」ではないとの認識を示し、インフレ率がFRBの目標とする2%へ自然に戻るとの確信は持てないと述べた。
同氏は「今こそFOMCが行動を起こし、PCE価格指数の上昇率を目標である2%へと速やかに戻し、米国民に対する物価安定への責務を果たすべき時だ」と述べた。
この3人は、4月のFOMC会合でも反対票を投じた。当時は金利据え置き自体には賛成したものの、声明の文言が、次の政策変更は利下げとなる可能性が高いと受け取れる点に異議を唱えていた。
カシュカリ氏は6月下旬のインタビューで、幅広いインフレ圧力がみられることを理由に、FRBは今年中に利上げを実施する必要がある可能性が高いとの考えを示していた。同氏は前回会合で、少なくとも年内1回の利上げを見込んだ8人の当局者の1人だ。
同氏は31日、政策金利を小幅に調整することで、経済情勢の変化に対してより柔軟に対応できるとの考えを示した。「私の見方では、インフレ率が高止まりするのであれば、いずれさらに大胆な措置が必要だと判断するまで待つよりも、小幅な政策調整を段階的に実施する方が望ましい」と述べた。

その上で、インフレが鈍化すれば、「その後の政策調整のペースを落としたり、一時停止したりすることもできる」と付け加えた。
市場では、7月のFOMCで政策金利が据え置かれるとの見方が大勢だった。それでも、翌30日には債券市場で売りが先行し、米30年債利回りは19年ぶりの高水準まで上昇した。ウォーシュFRB議長が据え置き判断の理由について詳しい説明を避け、政策金利を変更する条件について具体的な指針を示さなかったことが背景にある。
原題:Fed Dissenters Say Rate Hikes Needed to Battle Inflation Threat(抜粋)
(セントルイス連銀総裁の発言やグラフィックなどを追加して更新します)
--取材協力:アンスティー・クリストファー.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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