(ブルームバーグ):三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードがセブン&アイ・ホールディングス(HD)に出資する。3メガバンクグループの子会社として大手コンビニに初めて大規模出資するのは、物理的な店舗網を生かして個人向けデジタル戦略の打開を狙うためだ。
セブン&アイは31日、三井住友カードの他、ソフトバンクとPayPayからそれぞれ1000億円ずつ計3000億円の出資を受け入れると発表した。三井住友カードはFGの決済事業を担う。佐々木丈也社長は同日開いた記者説明会で、「日本最大級の生活インフラであるセブンーイレブンの店舗と金融決済基盤を結び付ける」と語った。
同席したFGの上村明生専務は、セブン-イレブン・ジャパンとの共同店舗を検討すると説明した。三井住友銀行は、都市部では従来よりも省スペースの「ストア」と呼ぶ店舗の設置を進めている。一案として「空いたスペースにセブン-イレブンにテナントとして入ってもらう機会もあると思う」と述べた。
詳細は今後、セブン&アイ側と詰める。上村氏は、まずはモデルとなる店舗を設けてアイデアを試していくとした。その上で、「セブンーイレブンの一角に三井住友銀や三井住友カードと繋がっている端末を置くなどの形になると思う」と述べた。
オリーブにライバル猛追
三井住友カードは今回の出資を通じ、個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」顧客基盤の拡大につなげる。クレジットカード、銀行、証券など複数の金融サービスを1つのアプリから利用できる手軽さが売りで、三井住友銀行と共同で展開している。
2023年春の導入から3年で若者を中心に急速に顧客基盤を拡大し、今年7月時点で800万口座を達成した。関連預金量は6兆円に上る。三井住友FGはオリーブの口座数を28年度末までに1500万口座へ増やす目標を持つ。
日本銀行の利上げによって金利のある世界になり、「預金減少時代」の到来も予見される。個人向けデジタル金融サービスの深化は、FGとして預金集めという側面からも重要性を増している。
足元ではライバルが猛追する。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、クレジットカードや銀行口座などを組み合わせた金融アプリ「エムット」を25年6月に始めた。OpenAIやグーグルと立て続けに提携し、AIやクラウドを活用してサービスを向上させている。MUFGの個人顧客数は25年度、8年ぶりに増加に転じた。
デジタルこそ物理的拠点の時代
後発組のサービスの登場により、オリーブの革新性は薄れてきている。三井住友FGの幹部は、デジタル金融サービスがデジタルの世界だけで生き残れる時代は終わったと話す。今後は、いかに物理的拠点を生かせるかの勝負になると先を見据える。
上村専務は説明会で、リアルは引き続き重要だとし、「セブン-イレブンと共に金融サービスの新たなチャネルを模索する」と話した。
セブン-イレブンは国内に約2万2000店舗あり、3大都市圏以外が過半を占める。デジタルになじみの薄い高齢者にも敷居が低い。顧客基盤や購買データは、金融事業者にとっても収益性の高いサービス提供につながる可能性を持つ。
「貯蓄から投資へ」の流れの加速も、デジタル金融に改めて物理拠点の必要性を問いかける。デジタルサービス利用者の間には、複雑な資産運用や住宅ローンなど高額取引は対面で相談したいというニーズが急激に増えている。
ドコモショップで口座開設
デジタル時代に対面が重視される傾向にはライバルも目を付ける。全国に店舗網を持つNTTドコモは25年、住信SBIネット銀行を買収し、銀行業に参入した。運営会社のNTTドコモ・フィナンシャルグループ広報担当者によると、金融サービスやサポートを対面で行う拠点を5年間で1500以上に広げる計画だ。このうち、ドコモショップでは高齢者などにネット経由の口座開設作業をサポートする。
メガバンクは1990年代後半から統廃合を通じて店舗を減らしてきたが、その潮目も変化している。みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は5月の事業説明会で、みずほ銀行の店舗網について、「これまでは減らすことにフォーカスしてきたが、ここからはキープする」と述べた。
三井住友FGは今回の提携で、コンビニというネットワークへのアクセスを手にすることになる。上村氏によれば、オリーブは三井住友銀の店舗がない地域で利用者の獲得が進んでいないという。「銀行の店舗が薄いところをセブンの店舗と組むという思いがある」と語った。
もっとも、どれくらいの規模で共同店舗を展開し、どのようなサービスを提供するかなどの具体策は「これから検討する」とした。コンビニでは決済の半分においてまだ現金が使用されている。楽天グループなどの他陣営もデジタル決済分野で攻勢をかける中、三井住友側が今回の出資をどう具体的な成果に結びつけられるか、今後の手腕が問われそうだ。
(4段落目を追加して記事を更新します)
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