円が対ドルで急騰した7月30日の外国為替市場で、日本の通貨当局は約8兆4500億円規模の円買い介入を実施した可能性がある。日本銀行が31日公表した8月3日の当座預金増減要因と、短資会社の予想との差が介入の規模を示唆している。

為替介入に伴う資金決済は取引の2営業日後となるため、30日分は来月3日の日銀当座預金残高予想に表れる。介入を反映する財政等要因はマイナス8兆2000億円だった。

介入を織り込まない短資会社の予想では、東京短資がプラス1兆4000億円程度、セントラル短資はプラス3000億円程度、上田八木短資はマイナス9500億円程度だった。3社平均のプラス2500億円との差が、円買い介入の規模と推定される。

東短リサーチの高井雄一郎研究員は、この数字を見る限り介入が実施されたことは「ほぼ間違いない」と指摘した。ただ、同社の推計では介入規模は約9兆6000億円となるものの、特別会計からの支払い約3兆2000億円を見込んでいるため、実際の介入規模はこれをやや下回る可能性もあるとの見方を示した。

事情に詳しい市場関係者によると、政府・日銀は30日のニューヨーク外国為替市場で円買い・ドル売り介入を実施。米国の通貨当局は市場参加者に相場水準を確認する「レートチェック」も行った。同日の円相場は対ドルで162円台から一時157円台まで急騰。上昇率は3.3%と、2023年12月7日以来の大きさとなった。

片山財務相は24日、164円目前に接近した円相場への対応に関し、「必要に応じていつでも適切に対応するが、それは断固たる措置を果断にやるということだ」と市場をけん制。28日のイベントでは、必要に応じて措置を取る方針を日米間で共有しているとの見解を示していた。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは31日付リポートで、「政府は引き続き160円前後を防衛ラインとしていることを示したと考えられる」と指摘。ただ、相場の流れを変えるような経済ファンダメンタルズの変化が起こるまでの時間稼ぎで、今後数週間内に介入前の水準まで戻る可能性もあるとの見方を示した。

前回の介入では、5月27日までの1カ月間に過去最大の計11兆7349億円の資金を投じた。ただ、日本の財政拡張への懸念や米国の利上げ観測、中東情勢の混乱などから円安基調は変わらず、市場では追加介入への警戒が続いていた。

財務省は月次ベースの介入の有無を総額の形で月末に公表している。7月30日-8月26日分は8月28日の午後7時に公表する予定。日次ベースの介入額は7-9月分が公表される11月上旬にも判明する。

財務省が31日発表した「外国為替平衡操作の実施状況」によると、6月29日から7月29日までの介入実績はゼロ円だった。

(市場関係者のコメントを追加して更新しました)

--取材協力:間一生.

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