(ブルームバーグ):壮大な山岳風景で知られる中国東部の安徽省が今週、AIブームの恩恵を最も大きく受ける地域の一つに加わった。
安徽省は、地元の半導体メモリーメーカー、長鑫存儲技術(CXMT)を傘下に置く長鑫科技集団(CXMT Corp.)への長年にわたる投資によって、数十億ドル規模の含み益を得る見通しだ。上海証券取引所に27日上場したCXMTの株価は、初日の取引で460%超上昇。中国本土市場で時価総額最大の上場企業となった。
ブルームバーグが目論見書を基に試算したところ、安徽省は合肥市産業投資控股集団など複数の事業体を通じてCXMT株の約4割を保有している。これは株主グループとして最大の持ち分となる。27日終値時点の時価総額3兆2800億元(約79兆円)に基づくと、持ち分は約1兆3000億元相当となる。
S&Pグローバル・レーティング(中国)の分析責任者ダン・リー氏は、「CXMTへの投資成功は、資本市場における合肥市と安徽省への信頼を高め、地域の資金調達環境を改善するとともに、より多くの資金の呼び込みにつながる」と述べた。

この含み益は、中国の地方政府の中で安徽省を際立たせるものとなる。多くの地方政府が景気減速や不動産不況、重い債務負担という課題に直面する一方、安徽省は財政面で下支えを受けるとみられる。ブルームバーグが集計したデータによると、安徽省の地方政府と資金調達事業体(LGFV)が発行する債券残高は約2兆9000億元に上る。
安徽省のCXMTへの投資は、新興産業を通じて成長を促し、世界的な技術競争で重要分野に資本を振り向ける中国政府の取り組みを象徴する事例ともなっている。
フィッチ・レーティングスのシニアディレクター、デービス・サン氏は「合肥市には、産業を厳選して育成する姿勢や、戦略産業を支えるために適切なリスクを取る意欲、長期にわたる政策の一貫性という独自の強みがある」と指摘した。
CXMTは2016年、安徽省の省都・合肥市で設立された。地元政府はDRAM事業に関し、米国で経験を積んだ半導体技術者でギガデバイス・セミコンダクター(兆易創新科技)創業者の朱一明氏と協力した。
中国の地方政府は長年にわたり、各地でインフラ整備を進める自治体の資金調達を支援し、多額の債務を積み上げてきた。当局は現在、地方政府系の資金調達主体による債券発行の抑制を進めている。こうした中でCXMT投資による含み益は安徽省にとって財政面で重要な緩衝材になるとともに、今後の産業投資に充てる資金源にもなり得る。
S&Pのリー氏は、「CXMT投資が成功した意義は、財務的なリターンにとどまらない。産業の発展やサプライチェーンの集積、地域経済の高度化への影響は、単独の投資案件を大きく上回る」と話した。
ブルームバーグは合肥市産業投資控股集団と安徽省政府の担当者に電子メールで取材を申し込んだが、回答は得られなかった。
原題:CXMT Listing Creates $192 Billion Windfall for Chinese Province(抜粋)
--取材協力:Kevin Dharmawan、Yuling Yang、Zheng Wu.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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