(ブルームバーグ):28日の日本市場は株式が急反落。世界的な半導体関連企業への売り圧力で日経平均株価は2500円以上下げ、2カ月ぶりの安値を付けた。AIに対する過剰投資懸念や半導体製造装置での中国企業参入による競争激化が警戒された。
消費税減税の首相判断を待つ債券相場は、財政懸念が超長期ゾーンを中心に重しとなる一方、株安を受けたリスク回避の買いが短中期ゾーンに入り、新発2年・5年国債は上昇(金利は低下)した。日米の金融政策決定を控え、円相場は対ドルで163円台後半で終日膠着(こうちゃく)感が強かった。
総額7500億ドル超(約123兆円)のAIインフラ案件を巡り協議を進めていることを受け、巨額投資への懸念で米エヌビディアの信用リスクが急上昇し、同社株は27日の取引で約5%下落。加えて、中国の政府系企業が半導体製造工程で使用する液浸型深紫外線(DUV)露光装置の製造を開始したとの報道も嫌気され、日本をはじめ各国で半導体関連株の下げが拡大した。
韓国総合株価指数(KOSPI)は10%超急落し、20分間の売買停止措置が発動された。アジア時間帯のナスダック100Eミニ先物も下落。
ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のマネジングディレクター、ベイサーン・リン氏はAI、半導体関連株に対する投資家の貪欲さが恐怖に変わってしまったと指摘。今はファンダメンタルズへの影響を分析せず、あらゆるニュースをネガティブに解釈し、売り材料としていると述べた。
株式
東証33業種はAI関連銘柄を含む電機や非鉄金属、機械、化学などの下げが大きく、銀行も安い。半面、原油価格の下落を受けた動力コスト懸念の後退で空運や陸運が上げ、消費税の食品減税観測が広がる中で小売り、食料品も高い。
売買代金上位ではキオクシアホールディングスやアドバンテスト、東京エレクトロン、レーザーテック、ディスコ、イビデンの下落率が軒並み10%超。ソフトバンクグループや村田製作所、三菱UFJフィナンシャル・グループも安い。任天堂やファーストリテイリング、トヨタ自動車などは買われた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、半導体関連株の下落幅が大きく、ボラティリティーの大きさも「リスクオフの雰囲気を生んでいる」と指摘。値動きからみる限り、信用買いをしていたと投資家など短期勢が投げ売りした可能性があると言う。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、日経平均は中期的なトレンドを示す75日移動平均線が下値支持線として働かず、「チャートのシグナルとしては悪い状態」と分析。相場の底入れは日米の金融政策や米ハイパースケーラー(クラウド大手)の決算が一巡した後ではないかと話した。
債券
債券は短中期債が上昇(金利は低下)し、超長期債は軟調。高市早苗首相が食品消費税を2027年4月から1%に引き下げる方針を固めたと朝日新聞が報じ、財政悪化への懸念が相場の重しとなった半面、前日の海外原油安や米国金利の低下、株安が下支えした。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米金利低下に加え、日本株の下落を受け債券が買われた可能性があると指摘。一方で、消費税減税を巡る財源の示し方など追加情報を待ちながら、「積極的に買いに入る投資家は見込みにくい」とも話していた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは、食品税率の引き下げは高市首相が自民党総裁選で圧勝した理由の一つで、公約を果たさないと支持率はさらに打撃を受けると分析。実行に移せば、債券利回りの上昇が予想されるが、市場にほぼ織り込み済みとの認識も示した。
イタリアの資産運用会社アジムット・グループのファンドマネジャー、ニコロ・ボッキン氏は日本銀行が積極的な利上げに踏み切るとの見方に否定的で、日本国債は世界の債券市場で有数の投資機会を提供しているとみている。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円は対ドルで163円台後半で終日もみ合った。中東情勢の先行き不透明感からインフレ警戒が続き、ドル買い圧力は根強いものの、日本の通貨当局による介入警戒感もくすぶった。
片山さつき財務相は都内のイベントで、円安で推移している足元の為替相場について必要に応じて措置を取る方針を日米間で共有しているとの見解を示したが、市場の反応は薄かった。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、ドル買い圧力が続き、円要因では動いていないと解説。為替介入はいつあってもおかしくない水準だが、ドル高が進む中での介入は効果の面から難しいと指摘した。
外為どっとコム総合研究所の中村勉為替アナリストは、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官からタカ派的な発言もあり、今週の金融政策決定会合での利上げの可能性が残っていることが円売り・ドル買いにつながっていると見ていた。
--取材協力:Anand Krishnamoorthy、アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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