(ブルームバーグ):人気のテクノロジー製品で今年見つかったソフトウエアのセキュリティー脆弱(ぜいじゃく)性の件数が、2025年のおよそ2倍のペースで増加していることが米国のデータベースで分かった。背景には、AIシステムの能力向上がある。
デジタルセキュリティー上の欠陥を集約する「国家脆弱性データベース(NVD)」によると、1月から今月27日までに記録された脆弱性は4万5207件に達し、25年通年の件数に迫っている。25年に同データベースで記録された脆弱性件数は過去最多だった。
NVDは米商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)が運営している。セキュリティー脆弱性とは、ハッカーがコンピューターシステムに不正侵入して犯罪やスパイ活動などに悪用する可能性があるソフトウエア上の欠陥を指す。
オラクルは、7月の月例ソフトウエア更新で1449件のセキュリティー脆弱性を修正したと発表した。49年の歴史を持つ同社として過去最多で、前年同期の更新で修正した309件を大きく上回った。
マイクロソフトは7月に642件のセキュリティー上の不具合を公表した。これも過去最多で、前年同月の約5倍に当たる。アルファベット傘下のグーグルは、最近実施したブラウザー「Chrome(クローム)」の更新で433件の同様の不具合を発見・修正した。1年前の更新では11件だった。
サイバーセキュリティー企業センチネルワンの主席AI研究科学者、ガブリエル・バーナデット・シャピロ氏は「こうしたツールが、人々のソフトウエアの脆弱性を見つける能力を高めているという現実を受け止めなければならない」と述べた。
Chromeのエンジニアリング担当ディレクター、ダグ・ターナー氏がブルームバーグに対し、グーグルでの脆弱性発見の「前例のない規模とスピード」は、AIモデルの進歩とそれに対応した投資の成果だと語った。
マイクロソフトはコメントを控えた。オラクルにコメントを要請したものの、返答は得られていない。
脆弱性発見の急増は、高性能な新AIモデルを利用するハッカーの脅威を巡り、各国政府やセキュリティー企業が鳴らしてきた警鐘を裏付ける形となっている。
一方、データを詳しく見ると、こうした懸念には一定の限界もあることが分かる。米国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー・インフラ安全保障庁(CISA)が公開する「悪用された既知の脆弱性(KEV)カタログ」によると、今年発見された脆弱性が増加しているものの、実際に悪用された脆弱性の件数は増えていない。
また、各社の開示によれば、新たに見つかった脆弱性の多くは、テクノロジー企業の社内セキュリティー担当者がサイバーセキュリティー向けAIツールを使って発見している。グーグルによると、7月にChromeで見つかった433件の脆弱性のうち、401件は社内で「報告」したものだった。
米サイバーセキュリティー企業トレンドマイクロの脅威認識部門責任者、ダスティン・チャイルズ氏は「悲観論を唱える人々の主張を裏付けるような数字は現時点では見当たらない」と話した。
最先端AIモデルは最近数カ月でソフトウエアの脆弱性を発見する能力を急速に高めており、ハッカーによるその悪用が急増するとの懸念が浮上している。アンソロピックの「Mythos(ミュトス)」は、初期テストで数千件のソフトウエアの脆弱性を発見し、最先端AIモデルの新たな能力水準を示した。OpenAIも同等のツールを開発している。
マイクロソフトは27日、「MAI-Cyber-1-Flash」と呼ばれる新たなAIセキュリティーツールを公開した。このツールはソフトウエアの脆弱性管理を支援するという。
ハッカー側も、抽象的な脆弱性情報を実際にコンピューターシステム侵入に利用できる不正プログラム「エクスプロイト」に変換するスピードをかつてないほど高めている。米サイバーセキュリティー企業レコーデッド・フューチャーのシニアアドバイザー、アレクサンダー・レスリー氏によると、攻撃者が脆弱性を悪用するまでに要する平均時間は26年に24時間と、前年の72時間から大幅短縮した。
原題:AI Finding Double the Cyber Flaws in 2026 It Did in 2025 (1)(抜粋)
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