(ブルームバーグ):欧州株式市場は今年、一部銘柄の値動きに大きく左右されるようになっている。これまで少数銘柄主導の相場とは無縁とみられてきたが、その構図は一変した。
ストックス欧州600指数は、オランダ半導体製造装置メーカーのASMLホールディング、独半導体メーカーのインフィニオンテクノロジーズ、仏伊系半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスなどへの資金流入に押し上げられている。AIを巡る期待が米国のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)から世界の半導体関連株に広がったためだ。
ブルームバーグの集計データによると、値上がりをけん引する企業数に基づく同指数の集中度は、数年ぶりの高水準となった。
ストックス600指数は年初来で8.8%上昇しており、その上げ分の約6割をわずか10銘柄が占める。ASMLだけで上昇分の約4分の1に寄与し、HSBCホールディングスが8%で続く。
過去3年間とは対照的だ。同指数は2022年9月の安値から55%上昇したが、金融や工業、ヘルスケア、保険、テクノロジーなど幅広い業種の銘柄がけん引していた。個別銘柄で寄与度が最大だったのは当時もASMLだったが、5%未満にとどまっていた。
ウィズダムツリーUKのマクロ経済調査ディレクター、アニーカ・グプタ氏は「リターンを生む銘柄が非常に限られるようになった」と指摘。「これにより、短期的な脆弱(ぜいじゃく)性が明らかに高まる。分散投資を目的に欧州株を買う投資家も、米国や日本、新興国市場のテクノロジー株を押し上げているAI設備投資サイクルへの依存を強めている」と述べた。

もっとも、欧州株式市場におけるテクノロジー株の存在感は、米国と比べれば依然として小さい。ストックス600指数に占める同業種の比率はわずか8%で、金融の26%を大きく下回る。今年の指数上昇への寄与度が大きい上位10銘柄のうち、テクノロジー関連はASMLとインフィニオンの2社に過ぎない。
一方、S&P500種株価指数ではテクノロジー株の比率が36%に上る。AI関連株相場の先行きに疑問が浮上する中でも、年初来8.3%上昇への寄与度が大きい上位10銘柄は、ほぼ全てテクノロジー株だ。
少数銘柄依存の落とし穴
今年の世界株式市場の動きは、少数銘柄への依存がもたらすリスクを明確に示している。韓国総合株価指数(KOSPI)は、半導体株の急騰を背景に6月のピークまでに2倍余りに上昇したが、その後は既に27%下落した。
一部銘柄の影響が過度に大きいと、幅広い業種で起きている銘柄の浮沈が見えにくくなる場合もある。ブルームバーグのデータによると、ストックス600指数の今年の上昇率は前年同期とほぼ同じだが、20%超下落した構成銘柄の割合は2倍余りに増えた。

明るい材料もある。投資家が割高な半導体関連株を売り、AIを巡るボラティリティーが高まった過去6週間でも、欧州株は世界の他の主要市場を上回った。ストックス600指数は5月末から3%上昇した一方、S&P500種は2.2%、KOSPIは21%下落した。
欧州の金融株が堅調な上昇を続けているほか、企業業績の見通しも改善しているためだ。シティグループの指数によると、利益予想を引き上げたアナリストの数が、引き下げたアナリストの数を上回る度合いは、約5年ぶりの高水準となった。
バークレイズのストラテジスト、エマニュエル・コー氏は「投資家からは、欧州市場は実際に分散が利いており、アジアや米国よりテクノロジー株への依存度が低いため魅力的だとの声を聞く」と話した。
ただ、銀行株や防衛関連株など過去数年の好調銘柄が勢いを失う中、欧州でも引き続きテクノロジー株が相場を主導すると見込まれる。今年後半には集中度がさらに高まり、市場の振れが大きくなるリスクがある。
プレミア・ミトンのニール・バレル最高投資責任者(CIO)は「引き続きテクノロジー株が中心だ」と指摘。「AI相場の初期の上昇は、欧州にはなかった『マグニフィセント・セブン』やハイパースケーラーに集中していた。今は半導体株に注目が集まっており、欧州の大手企業がAIテーマの中核になると予想している」と述べた。
原題:Europe’s Stock Market Rally Is the Most Concentrated in Years(抜粋)
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