人生を1人のパートナーと幸せに過ごす方法として、寝室を別にする選択をする人が増えている。夫婦間で寝室の在り方を見直す動きが広がっており、可能であれば自宅に二つの主寝室を設けることを優先するようになっている。

建築家やデザイナーに別々の寝室を依頼する理由はさまざまだ。生活リズムの違い、いびき、更年期の症状、時差ぼけ、好みの室温の違いなどがある。住宅所有者やデザイナーによると、富裕層の間では、睡眠の質を記録するウエアラブル機器の普及が、こうした需要を押し上げる一因になっているという。

クリスティーナ・デッサー氏は、米カリフォルニア州マリン郡の自宅に、高級建築事務所バトラー・アームズデンの設計で第2の主寝室を新設した。第1の主寝室と隣接するこの部屋は主浴室を介して隣り合っているため、夜中でも家の中を歩き回ることなく、静かに別の寝室へ移ることができる。デッサーさんはこの部屋を「いびき部屋」と呼んでいる。

デッサー氏は常に夫と別々に寝ているわけではないが、夫がいびきをかき始めた時や、睡眠トラッカーで睡眠の質が良くなかったことが分かった時には、この選択肢があることを気に入っている。

「私たちは一緒のベッドで眠るのが好きだし、犬2匹も一緒だが、別々の部屋で眠る方が、より深く質の高い睡眠が取れるようだ。睡眠環境を犠牲にすることなく、それぞれのベッドで眠れるという選択肢があるのは本当にありがたい」とデッサー氏は電子メールで述べた。

建築家やデザイナー、住宅所有者によると、このような住まい方は必ずしも夫婦関係の悪化が理由ではない。

ロンドンを拠点とするインテリアデザイナーで、スタジオ・ヴェロの共同創業者でもあるロマノス・ブリヒ氏は、「一度きちんと眠れるようになると、睡眠不足を美化することは非常に難しくなる」と話す。

ブリヒ氏は、高級住宅街チェルシーで、主寝室に隣接する書斎を第2の寝室に改装する案件を手掛けた。同氏によると、これは現代の住宅で仕事部屋や浴室をそれぞれ別に設けるのと同じ発想だという。

ブリヒ氏は「睡眠だけが、誰にとっても同じものであるかのように扱われ続けているのは、ますます時代遅れだ」と語る。

米国睡眠医学会(AASM)が2025年に実施した調査によると、いわゆる「睡眠離婚」を選んだ米国の成人は約31%と、2024年の29%から増加した。ニューヨークで高級マットレス販売店ビスプリングNYCを経営するブライアン・ベンコ氏によると、この6年間で夫婦が別々の寝室用にそれぞれ専用のベッドを購入するケースが18%増えたという。

ロンドンを拠点とする建築家ロバート・ドージュ氏によると、自身の事務所アリア・ドージュでは、この18カ月で別々の寝室を求める依頼が大幅に増えたという。英サザビーズ・インターナショナル・リアルティのエグゼクティブパートナー、ベッキー・ファテミ氏も、近年こうした需要の高まりを実感している。

ファテミ氏は「妨げられない睡眠は究極のぜいたく品の一つになった」と話す。同氏の顧客には、仕事で世界各地の時間帯に合わせて働く夫婦も多く、互いの睡眠リズムを合わせるのが難しいケースも少なくないという。

ロンドンでは、歴史ある住宅の応接室だった空間を、独立した更衣室や浴室を備えた広々とした寝室へ改装する例も見られると話す。

ファテミ氏は「別々の居室があったからこそ結婚生活が続いたと、本気で話す顧客もいた」と語った。

米ノースカロライナ州アッシュビルを拠点とするトラウマケアの認定専門家、ザネット・パイレット氏も、パートナーとは別の寝室で眠っている。「幸せな結婚生活には同じベッドで眠ることが必要だと、私たちは社会的に刷り込まれてきた。しかし、多くの夫婦にとって、それは必ずしも真実ではない。年齢を重ねればなおさらだ」と話す。

睡眠習慣の違いがお互いに影響し始めたことから、パイレット氏は自宅の客室をパートナー用の第2の寝室に改装した。パートナーは柔らかいマットレスとテレビをつけたまま眠ることを好む一方、パイレット氏は硬めのベッドと静かな環境を望んでいた。客室には新しい家具やテレビを設置し、好みに合わせた内装へと整えた。

その結果として親密さが損なわれることは全くなく、むしろ「私たちの関係は本当に良くなった」と満足げだ。

寝室を分けるという考え方は現代的に映るかもしれないが、不動産業界では、かつて富裕層の家庭ではそれが一般的だったと指摘する。

不動産会社ブルーブックの共同創業者、リンゼイ・カスリル氏は、「英国の地方の大邸宅では、夫婦がそれぞれ専用の居室を持つのがごく普通だった」と話す。また、エリザベス2世女王とフィリップ王配が別々の寝室を使っていたことはよく知られていると指摘した。

歴史的な建造物を活用した高級マンションを開発する事業者によると、その間取りは意外なほど現代的に感じられるという。ロンドンを拠点とするREDDリアルエステートの共同創業者、ラッセル・スミザーズ氏が手掛ける最新プロジェクトは、ケンジントン地区にある「ワン・パレス・グリーン」だ。19世紀の貴族ジョージ・ハワードのロンドン邸宅として建てられた建物で、現在は6戸の住宅に分割される予定となっている。

スミザーズ氏は「ワン・パレス・グリーンは、もともとプライバシーと適度な距離感を確保するため、別々の寝室を備えた設計だった」と説明する。新たに設計された各住戸には、普段は客室として使い、必要に応じて第2の主寝室にもできるゲストスイートが設けられている。

一方で、第2の主寝室を設けてほしいとは、なかなか言い出せない夫婦もいる。

ロサンゼルスを拠点とするKAAデザイン・グループの建築家兼パートナー、ドゥアン・トラン氏によると、別々に眠れる隣接した寝室を求める相談は、ゲストスイートや礼拝室、予備の寝室の設計という形で持ち込まれることが多い。

トラン氏は「多くの人は、夫婦の暮らし方について他人の目を気にしているのだろう」と話した。

原題:More Luxury Homeowners Want Sleeping Spaces Away From Spouses(抜粋)

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