(ブルームバーグ):6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比上昇率が3カ月ぶりに前月から拡大した。日本銀行が年内に追加利上げを行うとの市場の観測を支える材料となる。
総務省の24日の発表によると、コアCPIは1.6%上昇と前月(1.4%上昇)から伸びが加速した。市場予想と一致した。日銀の目標の2%を下回るのは5カ月連続。
昨年に政府によるガソリン補助金の拡大が押し下げ要因となった反動などで、エネルギーが0.1%低下とマイナス幅が縮小し、全体の伸びを押し上げた。生鮮食品を除く食料は3.1%上昇と11カ月連続で伸びが縮小し、マイナス方向に寄与した。
コアCPIは日銀の2%目標を下回って推移しているが、ガソリンの暫定税率廃止などの政策効果が大きい。中東情勢を受けた原油価格の上昇が夏場以降、次第に波及してくることは確実で、日銀では最近の円安進行の影響を含めて物価上振れリスクに警戒を強めている。今回の結果は日銀の利上げ路線をサポートする内容と言える。
みずほ証券の片木亮介マーケットエコノミストは、「昨年以来の食料品を中心としたインフレが落ち着いた踊り場」とし、今後はイラン情勢の影響で食料品が値上げされ、夏場ごろから伸びは拡大傾向になると指摘。日銀の利上げは12月をメインシナリオとしつつ、「物価の上振れ懸念が高まれば、10月会合の可能性もある」とみる。
生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは1.7%上昇と前月の1.8%上昇から伸びが縮小。プラス幅の縮小は8カ月連続。市場予想は1.8%上昇だった。総合指数は1.7%上昇と伸びが拡大。前月は1.5%上昇だった。日銀が目標の直接の対象としている総合が2%を下回るのは、6カ月連続。市場予想と一致した。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.0%上昇と伸びは横ばいとなった。2026年の春闘の平均賃上げ率は、連合の目標である「5%以上」を3年連続達成するなど高水準を確保した。一定水準の賃上げが持続できるか、引き続き緊張状態にある中東情勢の影響などに注意が必要だ。
24日の外国為替市場で円は対ドルで163円台後半に下落して推移している。中東情勢の緊迫化を受けた有事のドル買いが優勢になっている。全国CPIへの目立った反応は見られていない。
ブルームバーグ・エコノミクスの見方
「円安も、輸入食品や耐久消費財の価格上昇を後押ししている可能性が高い。今回の全国CPIを受けて、日本銀行はさらなる金融緩和度合いの縮小に向けた方針を維持することになるだろう」
木村太郎シニアエコノミスト
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日銀は前回6月の金融政策決定会合で、政策金利を31年ぶりの水準となる1.0%程度に引き上げるとともに、利上げ継続方針を維持した。政策判断で重視する一時的な要因を除く中長期的なトレンドを示す基調的な物価上昇率が2%目標から上振れていくリスクにも言及し、インフレ対応を重視する姿勢を強めた。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に16-22日に行った調査によると、追加利上げ時期は、12月が最多の50%、次いで10月が40%となった。6月の利上げ直後に実施した調査では、それぞれ52%、36%だった。想定される最も早いタイミングは、10月が50%、9月が37%となった。30、31日の会合は全員が政策維持を見込んでいる。
足元の金利スワップ市場が織り込む日銀の1.25%への利上げ確率は、9月会合までが約35%、10月会合までが約84%、12月会合までは100%を超えている。
総務省の説明
- 前月から総合とコアを最も押し上げたのはエネルギー。電気代と都市ガス代は燃料費調整単価が押し上げに寄与
- 診療報酬の改定による診療代、電気洗濯機や電気冷蔵庫による家庭用耐久財などもプラスに寄与
- 生鮮食品を除く食料は引き続きマイナス寄与。チョコレートや米類などが押し下げ要因。米類の前年比8.7%低下は2015年8月以来の大きな下落幅
- 携帯電話通信料は、昨年に大手通信会社のプラン変更で値上がりした反動で押し下げに寄与
- 全体として原材料価格の上昇が続いており、中東情勢の影響だけを抽出するのは難しい
- AI関連需要の拡大、メモリーカードなどの価格が上昇しており、電子機器関係に影響出ている可能性。メモリーカードは29.2%上昇
(総務省の説明などを追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子.
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