23日の米社債市場では、借り入れに支えられたAIブーム拡大への不安が再燃したほか、中東での衝突激化も重しとなり、米主要テック企業の一部社債の価格が下落した。

原油価格の1バレル=100ドル突破でインフレ懸念が高まり、長めの債券利回りが上昇しており、AI分野に巨額の資金を投じてきた企業の借り入れコスト増大が不安視された。

グーグルの親会社アルファベットが22日遅くに発表した4-6月(第2四半期)決算で、今年の設備投資見通しを引き上げたことも社債の下げに拍車を掛けた。AI投資ブームの資金調達を支える大量の新発債発行が今後も続く可能性が高いと受け止められた。

AI投資の借り入れは今年だけで総額約3500億ドル(約57兆3000億円)に達し、債券市場を既に圧迫している。新発債全ての消化が思うように進まない兆候も見られる。

アルファベットの2046年満期債(表面利率5.5%)の利回りは約9ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)上昇し、6.11%となった。これは最高格付けのベンチマークを約91bp上回る水準だ。 データセンター建設ブームの中心プレーヤー、オラクルの30年満期債の利回りも17bp上昇し、約6.09%を付けた。

巨大データセンターで高度な計算能力を構築し、クラウドサービスやAI向けインフラを提供する代表的なハイパースケーラー、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムの社債に連動するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッド(保険料率)も拡大した。万一のデフォルト(債務不履行)リスクへの不安の高まりを反映した格好だ。

インパックス・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トニー・トシチンカ氏は「市場はAI関連の設備投資への懸念、原油ショック、金利の再評価という三重苦に直面している」と指摘する。

社債市場のこうした動きは、株式市場で売りが広がる中で起きた。ナスダック100指数は2%近く下落し、巨大テック7銘柄「マグニフィセント・セブン」の株価は、25年4月の関税ショック以来の大幅安となった。

LSEGリッパーのデータによると、米国のハイグレード債ファンドからの資金流出額は22日までの1週間で71億ドルと、新型コロナ禍初期の 20年4月以来で最も多くなった。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア債券トレーダー、マーク・クレッグ氏は「テックはかつて投資家が身を隠す場所だったが、ハイパースケーラーは投資適格債の最大の発行体として『ビッグシックス』と呼ばれる大手6行と今や肩を並べる勢いだ。新たな200億ドルのディールがうわさされるだけで、全体の価格が再評価される。これは供給疲労であり、週を追うごとに加速している」と分析した。

原題:Tech Bonds Hit by Selloff as AI Debt Fears Race Through Markets(抜粋)

(ハイグレード債ファンドからの資金流出の情報を追加して更新します)

--取材協力:James Crombie、Ying Luthra.

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