米国債は利回りが引き続き高水準にあることから、投資家にとって損失に対する緩衝材となっている――。資産運用会社ブラックロックはこうした見方を示した。

同社は今年前半に比べてインフレ率と経済成長がともに鈍化すると予想している。シニア・ポートフォリオマネジャーのチー・チェン氏は第3四半期の債券市場見通しで、こうした変化に加え、AIの幅広い影響や経済環境の変化を背景に、「債券市場ではより多くの投資機会が生まれている」と指摘した。

チェン氏によると、10年債利回りは4%を大きく上回り、超長期債利回りも5%超で推移しているため、投資家は債券保有に対してより高いリターンを得られる。市場のバリュエーションは「一段と魅力的」になっているとの見方も示した。30年債利回りの上昇を受け、一部投資家の間では政府債務の拡大や根強いインフレへの懸念が高まっている。

長期投資を重視する債券投資家は、損失への備えが厚くなっていると、ブラックロックはみている。

ブラックロックで180億ドル規模の「ブラックロック・トータル・リターン・ファンド」を共同運用するチェン氏は、「現在の利回り水準は、金利上昇に伴う債券相場の下落に対して十分な緩衝材となる」と指摘した。ブラックロックは、10年債利回りが現在の水準から約70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇しない限り、1年間のトータルリターンはマイナスにならないと試算している。

2月下旬に始まった米国債相場の下落は今月に入り勢いを増し、利回りは大きく上昇した。市場では9月に0.25ポイントの利上げが実施されるとの見方が織り込まれ、スワップ市場では10月の利上げも完全に織り込まれている。年末までには計0.45ポイントの金融引き締めが織り込まれている。2年債利回りは23日に4.33%まで上昇し、年初来の高水準を付けた。これは米連邦準備制度理事会(FRB)の現在の政策金利である3.5-3.75%を大きく上回る水準だ。

チェン氏は「市場は、当社の想定よりもFRBの金融政策がタカ派寄りに推移するとの見方を織り込んでいる」と記した。

運用資産残高15兆3000億ドルで世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、ブルームバーグ米国債指数の今後12カ月のリターンについて4つのシナリオを示した。

リポートによると、FRBが政策金利を据え置いた場合のリターンは6.4%と見込まれる。一方、0.5ポイントの利下げが実施されれば7.2%に上昇する見通しだ。逆に1ポイントの利上げが行われた場合、来年のリターンは2.5%にとどまると予想。景気後退に陥り、1.5ポイントの金融緩和が実施されれば、米国債のリターンは11.6%に達すると見込んでいる。

今年に入ってからのブルームバーグ米国債指数のリターンは0.7%のマイナスとなっている。7月の米国債相場下落を受け、22日時点の月間リターンはマイナス0.9%となった。

一方、ブラックロックの運用担当者らは、新たにFRB議長に就任したケビン・ウォーシュ氏について、「過去5年間にわたりインフレ率がFRBの長期目標である2%を上回る中で、信認こそが中銀にとって最も強力な政策手段であることを認識している」と評価した。

その上で、「こうした言葉は最終的には行動、あるいはインフレ率の鈍化によって裏付けられる必要がある」と指摘した。

(更新前の記事で、第6段落の日付を訂正済みです)

原題:BlackRock Says Treasury Yields Offer Buffer Against Losses (1)(抜粋)

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