欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は23日、自身の退任時期について、明言は避けたいとしつつ、少なくとも今年中に退任することはないと述べた。

ラガルド氏は、ECB政策委員会会合後の記者会見で「2027年になる前に私が去ることはない」と述べた。ただ、任期が満了する来年10月より前に退任する可能性について、否定はしなかった。ラガルド氏は「特定の状況に縛られるのは好まない」としている。

ラガルド氏は、早期退任の可能性をうかがわせる発言を相次いでしていた。ブルームバーグが今月行ったエコノミスト調査では、約3分の1がラガルド氏は8年間の任期を全うしないと予想していた。

ラガルド氏が2027年10月より前に退任すれば、来春のフランス大統領選を前に、現職のマクロン大統領が後任人事に関与できる可能性がある。

ラガルド氏は今月の新聞インタビューで、フランス政界に参加するため早期退任することは「あり得る」と述べる一方、「私は何の候補者でもない」と改めて強調し、混乱期にECBを去ることはないとも語っていた。

23日の記者会見では「地平線に雲が見えたら、船長は船に残るものだ」と強調した。

ラガルド氏は6月、イラン戦争が勃発する前は辞任を検討していたと認めた。同氏については、世界経済フォーラム(WEF)のポストに就任するとの観測も依然としてくすぶっている。

ラガルド氏の今回の発言は、早期退任の可能性についての見通しとしては、これまでで最も踏み込んだものとなった。ただし、来年10月の任期満了まで総裁を務める可能性もなお残している。

ABNアムロのチーフエコノミスト、ニック・クーニス氏は、ラガルド氏の発言について「危機が続く、またはさらに深刻化するようなら別だろうが、状況が落ち着けば退任する可能性があることを示唆した」との見方を示した。

ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、現在、国際決済銀行(BIS)総支配人を務めるデコス・スペイン銀行(中央銀行)前総裁が、ラガルド総裁の後任として最有力候補とみられている。

スペイン紙エクスパンシオンは今週、スペイン政府がデコス氏をECB総裁候補として支持する方針だと報じた。

ブルームバーグの調査によると、デコス氏に対抗する唯一の有力候補とみられているのは、昨年オランダ中央銀行総裁を退任したクラース・クノット氏だ。ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁と、ECBのシュナーベル理事の2人も関心を示している。ただ、スペインとは異なり、ドイツ政府は支持する候補について明らかにしていない。

ドイツのメルツ首相は先週、ラガルド氏の総裁任期はまだ1年以上残っているとして、「急いで後任を選ぶ必要はない。後任を選ぶ時期が来れば、十分検討して決定する」と語った。

クーニス氏は「各国政府は、ラガルド総裁が任期途中で退任する可能性に備える必要がある。2027年10月もそう遠い先ではないため、このポストを巡る本格的な動きは、いずれにせよ近く始まるだろう」と述べた。

原題:Lagarde Opens ECB Succession Race With Pledge to See Out 2026(抜粋)

(10段落目にエコノミストのコメントを追加し更新します)

--取材協力:Bastian Benrath-Wright、William Horobin、Nick Heubeck、James Regan.

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