米銀大手モルガン・スタンレーの投資銀行部門は、宇宙技術会社スペースXの新規株式公開(IPO)を手掛けた報酬として、1億ドル(約163億円)を手にした。それはまだ、ほんの始まりに過ぎなかった。

事情に詳しい複数の関係者によると、4-6月(第2四半期)に相次いだIPOにより、モルガン・スタンレーのウェルスマネジメント部門の資産は700億ドルを超える新規入超となった。その大部分はスペースXのIPOに関連しているという。関係者は非公開情報について話していることを理由に、匿名を条件に語った。

モルガン・スタンレーはこの新たな資産の運用を通じて、毎年1億ドルを超える収入を得る見通しだ。

イーロン・マスク氏率いるスペースXは、モルガン・スタンレーの「ワークプレース」部門の顧客である。同部門は顧客企業の従業員向けに株式報酬制度や退職年金制度を提供し、経営幹部向けのサービスでも顧客を支援している。この部門は近年、同社が富裕層顧客を獲得するうえで極めて重要なルートにもなっている。

同社のウェルスマネジメント部門責任者ジェド・フィン氏はインタビューで、ワークプレース部門の顧客企業によるIPOを「繰り返し届く贈り物」に例える。「IPOを一度限りの資産獲得機会と考えるのは間違いだ。ロックアップ解除で売却可能になる株式や、新株の発行など、チャンスは何度も訪れる」と述べた。

フィン氏はスペースX向け業務についてのコメントを控えた。モルガン・スタンレーの広報担当者もコメントを差し控えた。同社がスペースX関連資産の運用から得る年間収入は、新たに流入した資産を基に一般的な手数料率を用いてブルームバーグが試算した。

2008年の金融危機を経て、モルガン・スタンレーの経営陣はトレーディングや投資銀行業務への依存を減らし、ウェルスマネジメント事業に重点を置くよう、事業構造を転換した。その後実施した買収も追い風となり、同部門は運用資産残高8兆ドルの巨大事業へと成長した。

2019年に買収したカナダのソリアム・キャピタルがその一例だ。株式報酬プラン管理サービスを提供するソリアムを、モルガン・スタンレーは現在のワークプレース部門へと発展させた。翌2020年にはオンライン証券大手のEトレードを買収し、同社が保有していた株式報酬管理事業も取り込んだ。

第2四半期のウェルスマネジメント部門への資金流入により、顧客資産は過去12カ月で25%増加し、モルガン・スタンレーの四半期利益は過去最高を更新した。

同社経営陣によると、「ユニコーン」と呼ばれる評価額10億ドル超の株式未上場企業のうち、上位100社の約70%と、S&P500種株価指数に採用されている企業の半数以上がワークプレース部門の顧客となっている。

フィン氏は「総じて言えば、われわれは長年にわたり顧客と関係を築き、助言を提供し、多くの場合は事前に融資も行ってきた。そうした努力が、当社のアドバイザーに有利に働く」と述べた。

原題:Morgan Stanley’s $100 Million SpaceX IPO Payday Was Only a Start(抜粋)

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