22日の米金融市場では、S&P500種株価指数とナスダック総合指数が下落。巨大テック企業の決算本格化を前に警戒ムードが広がった。中東情勢の緊迫化を受けて原油が一段高となり、国債利回りを押し上げた。円は1ドル=163円台前半と、約40年ぶりの安値圏にとどまった。

巨大テック株の大半が売られ、S&P500種の足を引っ張った。一方でエヌビディア株が2.3%上昇するなど、半導体株は持ち直した。ソフトウエア株は再び売られた。ダウ工業株30種平均はほぼ横ばいで終えた。

引け後の時間外取引で、テスラ株は下落。第2四半期利益が市場予想に届かなかったことが嫌気された。アルファベットも決算発表後に株価が荒い値動きとなっている。

1カ月前に株価を過去最高値へ押し上げたAIブームへの熱狂は薄れつつあり、AI投資のリターンに対する市場の視線は厳しさを増している。テック大手7社で構成する「マグニフィセント・セブン」に関する指数は、年初来のパフォーマンスがS&P500種を下回っており、ここ4年にわたり市場をけん引してきた流れに変化が生じている。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏によると、足元で半導体株の勢いに陰りが出始めたことを受け、市場ではAI関連投資の持続性が大きなテーマとなっている。

「AIの成長ストーリーに対する建設的な見方は崩していないが、半導体からハードウエア、大型テック株、さらに業界内のディフェンシブ分野まで、AIのバリューチェーン全般へのバランス投資を選好する」と同氏は指摘。その上で、「投資家はAI以外にも投資を分散させるべきだ」と述べた。

中東情勢も引き続き焦点だ。米イランともに早期の和平協議再開に否定的な見方を示す中、双方とも戦闘を激化させている。トランプ米大統領はこの日、イランがホルムズ海峡で船舶を攻撃すれば、橋や発電所を爆撃するとSNSへの投稿で警告。攻撃の対象にはイランの首都テヘランも含まれると述べた。

イランはこれに対し、米国が橋や発電所を攻撃した場合、「この地域にあるインフラや橋梁、さらに米国が権益を持つエネルギー施設を攻撃する」と主張した。タスニム通信が報じた。

為替

ニューヨーク外国為替市場で、円は対ドルでほぼ変わらずの163円台前半。前日につけた1986年12月以来約40年ぶりの安値圏で推移した。

日本銀行が利上げペース加速に柔軟な姿勢だとのブルームバーグ報道を受けて、欧州時間には一時162円69銭まで買われたが、ニューヨーク時間に入りじりじり下値を切り下げる展開となった。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の外為ストラテジスト、リー・ハードマン氏はこの報道によって、日銀が早ければ9月にも利上げを実施するとの見方を一段と強めたと述べた。市場は現在、9月利上げの確率を約35%と織り込んでいる。

同氏は「円の下支えを狙った、日本当局による口先介入の一種のようにも映る」と指摘。「原油価格が1バレル=100ドルに再び接近する中、日本の政策当局は通貨防衛で厳しい闘いを強いられている」と述べた。

ノムラ・インターナショナルのドミニク・バニング氏は「利上げペース加速の可能性が浮上したこと自体は、やや前向きな一歩と言える。ただ実際に利上げを実施できなければ、円にとってはむしろ失望を招きかねない」と述べた。

片山さつき財務相は22日、円相場について「必要があればいつでも適切に断固たる対応を取る」と述べ、介入も辞さない考えを改めて表明。木原稔官房長官も、「必要に応じていつでも適切に対応する」と述べた。だが、当局者による警告にもかかわらず、円売りに歯止めはかかっていない。

足元で進行する円安は、原油価格の上昇や日本の財政不安、主要国・地域との金利差によって、日本当局の通貨安対策が十分な効果を発揮できていない現状を浮き彫りにする。

SMBC日興証券の丸山凜途シニア金利・為替ストラテジストは、介入がなければ、市場は次の節目として165円を意識するだろうと述べた。

米国債

米国債相場は全年限で下落(利回りは上昇)。中東情勢の悪化を意識した原油価格の上昇を受けて、インフレ加速により米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを迫られるとの懸念が重しとなった。

2年債利回りは4.3%を上回り、2025年2月以来の高水準を付けた。一方、30年債利回りは5%を上回る状態が続いており、金融危機の兆候が出始めた2007以来となる長期の高止まりになっている。

BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏はイラン情勢について「戦闘が収まる兆しは見えず、戦争終結に向けた外交努力は実質的に行き詰まっている」と指摘。「米イランが攻撃の応酬を繰り返し、エネルギー価格の上昇が引き続き米国債市場の重しとなっている」と述べた。

中東情勢の緊迫は、金利上昇への懸念も深めている。短期金融市場では、1週間後に控えた連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げを約30%、金利据え置きを約70%の確率で織り込んでいる。

会合直前になってもこれほど見方が割れるのは近年では極めて異例だ。金融政策の先行き指針を示すフォワードガイダンスに否定的なウォーシュ議長の新体制下で予測が困難になっている。

米財務省が実施した130億ドルの20年債入札(リオープン)では、最高落札利回りが5.163%と、2020年に20年債が再導入されて以降で2番目の高水準だった。

最高落札利回りは入札前取引(WI)水準の5.158%を上回り、需要が想定をやや下回ったことを示した。20年債利回りは入札時点で前日比約2bp上昇していたが、市場の反応は限定的だった。

原油

原油は4日続伸。北海ブレント原油は一時、1バレル=95ドルを上回り、今月の上昇率は約30%に拡大した。米国とイランが和平交渉実現への期待を後退させる見方を示し、世界的な供給混乱への懸念が一段と強まった。

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物9月限は、前日比2.49ドル(3%)高の86.83ドルで終了。北海ブレント先物9月限は3.06ドル(3.4%)高の94.07ドルで引けた。

トランプ米大統領はイラン軍が「ホルムズ海峡で船舶に向けて発砲するたびに」、米国はテヘラン周辺も含めた「橋または発電所を一つ必ず爆撃し破壊する」と、自身のソーシャルメディアに投稿した。またイエメンの親イラン武装組織フーシ派が、紅海で船舶の航行を妨害した場合にも、米国は報復する考えを示した。紅海はホルムズ海峡を迂回する原油の輸送ルートとして、重要性を高めている。

イランは現在、米国と交渉を行っておらず、メッセージのやり取りだけが可能な状態だと、メヘル通信が伝えた。中東ではここ数日、敵対行為が激化しており、ホルムズ海峡のオマーン沖ではタンカー3隻が攻撃を受けた。

米軍によるイラン攻撃に加え、フーシ派が紅海で船舶への攻撃を再開する姿勢を示したことや、カザフスタン産原油の大半を輸出するロシア黒海沿岸の拠点で混乱が生じたことを受け、石油供給の逼迫(ひっぱく)懸念が強まっている。

TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ライアン・マッケイ氏は「今回の緊張激化とイランによる供給絞り込みを受け、事態が長引くほど原油価格が一段と上昇するシナリオが再び現実味を帯びる」と指摘した。「商品投資顧問業者(CTA)はブレント原油が1バレル=93ドルを上回る水準で再び買いを入れている。ただ、ボラティリティーの高さが依然として大きな制約となっている」とも述べた。

金相場は続伸。米国のインフレ圧力を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切るとの懸念から、ここ数週間下落していたことを受け、押し目買いが続いた。

金スポットは一時2.1%余り上昇し、1オンス=4160ドルを上回った。前日には1.7%上昇していた。銀も1オンス=60ドル近辺まで上昇した。

金価格は下落局面でもおおむね1オンス=4000ドルを上回って推移しており、一部の市場参加者はこの水準を下値支持線として意識している。グローバルX・ETFの投資ストラテジスト、ジャスティン・リン氏は、金価格の変動率が6月初旬以来の水準まで低下したことも買いを誘っていると指摘した。

TDセキュリティーズのシニア商品ストラテジスト、ライアン・マッケイ氏は「足元での反発は押し目買いに加え、1オンス=4000ドルが維持されたことへの安心感による資金流入が主因だ」と述べた。その上で、「ただこの反発が持続的な上昇局面の始まりになるとはみていない。エネルギー価格は再び上昇し始めており、最終的には金相場の上値を抑える要因になるだろう」と語った。

数年にわたって続いた金相場の強気相場は今年、中東情勢の緊迫化によって終止符を打った。足元では、エネルギー価格の上昇と軟調な米経済指標がFRBの今後の金利政策にどう影響するかを見極めようとする動きが続いている。利回りを生まない金にとって、金利の高止まりは逆風となる。

金スポットはニューヨーク時間午後2時43分現在、前日比58.08ドル(1.4%)高の1オンス=4135.07ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は75.50ドル(1.9%)高の4151.90ドルで引けた。

欧州

欧州株は上昇。総じてリスクオンの動きとなった。好調な企業決算がセンチメントを押し上げ、ストックス欧州600指数の業種別20指数のうち、15指数が上昇した。ストックス600は0.6%高で終えた。基礎資源、公益事業関連銘柄が上げを主導した。一方、この日はテクノロジー株が下落した。

ブレント原油がバレル当たり94ドル付近と、6月半ば以来の高値に上昇する中、エネルギー株は買いを集めた。トランプ米大統領はSNSへの投稿で、イランがホルムズ海峡の船舶を攻撃すれば米国は報復行為を実施すると表明した。

欧州債市場ではドイツ債と英国債が下落。イールドカーブはいずれもベアフラット化した。

短期金融市場では、米国とイランの攻撃激化を背景とした原油やガス価格の上昇を受け、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中央銀行)の利上げ観測が強まった。

スワップ動向によると、ECBによる今週の利上げは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)しか織り込まれていないが、9月までは計23bp、年末までは計47bpの利上げが想定されている。一方、英中銀は年内に計45bpの利上げが織り込まれている。

7月22日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Stocks Churn as Oil Jumps; Tesla Declines Late: Markets Wrap(抜粋)

US 20-Year Bond Auction Tails as It Draws Second-Highest Yield

Yen Rebounds From Four-Decade Low as BOJ May Hike Rates Faster

Oil Climbs to Six-Week High After Iran Dismisses Peace Talks

Gold Advances as Dip-Buying Outweighs War, Inflation Worries

European Stocks Rise on Upbeat Earnings; Randstad Rips Higher

Bunds, Gilts Decline as Energy Prices Rise: End-of-Day Curves

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