(ブルームバーグ):銀行株の再評価が進んでいる。堅調な貸し出し需要や良好な金利環境に支えられ、AI関連株への資金集中リスクを避けたい投資資金の受け皿となっている。
銀行株への資金流入を背景に、13日には三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が時価総額でトヨタ自動車やキオクシアホールディングスを上回り、国内首位に躍り出た。東証株価指数(TOPIX)の銀行業指数は7月に入り12%値上がりし、33業種で証券・商品先物取引業に次ぐ上昇率となっている。一方、AIインフラ関連として買われてきた電線株を含む非鉄金属は、過剰投資への懸念により13%安と下落率トップだ。
日本株は年初から一部のAI・半導体関連株が相場をけん引し、資金集中への警戒感が強まっていた。時価総額の大きい銀行株への資金シフトが進めば、一極集中が和らぎ、上昇相場の持続力が高まる可能性がある。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは、テクノロジー株を買いづらい中、「明確な買い材料がある銀行株は避難先になり得る」と話す。金融株全体がしっかりすれば、時価総額の大きさから相場全体の支えになるとみる。
銀行の収益を支える資金需要は堅調だ。日本銀行の「貸出・預金動向」によると、6月の銀行貸し出しは前年同月比6.3%増と、企業の資金需要が急増したコロナ禍の時期を除けば、統計をさかのぼれる1992年以降で最大の伸びとなった。
アセットマネジメントOneの西田拓実ファンドマネジャーは、活発化する合併・買収(M&A)に伴う一時的な資金需要だけでなく、インフレにより企業の名目ベースでの運転資金が膨らみ、構造的に貸し出し需要を押し上げていると指摘。貸出残高の絶対額が増えるとともに、日銀の利上げが貸出金利の改善にもつながっていると述べた。
もっとも、中東情勢の悪化で地政学リスクが再燃したことは銀行セクターの重しとなる可能性がある。ホルムズ海峡を巡る緊張が続く中、原油価格の高止まりはエネルギー輸入の依存度が高い日本経済の下押し要因となりかねない。
それでもアナリストは強気姿勢を維持する。ゴールドマン・サックス証券は13日、資本市場の活況や資金需要の拡大を反映し、MUFGと三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの業績予想と目標株価を引き上げた。野村証券も3メガバンクの目標株価を引き上げ、同セクターにはなお割安感が残ると指摘する。
14日に発表された米大手銀行5行の決算は株式取引部門が相次いで過去最高を更新するなどトレーディング部門が活況で、こうした海外の動きも銀行セクター全体へのセンチメントを支える材料となる。
ピクテ・アセット・マネジメントのシャニエル・ラムジー氏は約1カ月前、大きく値上がりしていた韓国などのテクノロジー株を売却し、日本の銀行株を買い増した。AI需要の恩恵がより広範な経済に広がりつつあり、銀行セクターは景気拡大へのエクスポージャーを提供する魅力的な投資先とみている。
銀行は利回り曲線のスティープ(傾斜)化による利ざや拡大と経済活動の恩恵を受けており、「われわれは前向きに捉えている」と同氏は指摘。「セクターの力強さは続くと考えている」と語った。
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