(ブルームバーグ):16日の日本市場は株式が急反落。前日の米国市場で半導体関連株の下げが目立ち、韓国株の急落も投資家心理を冷やした。債券は超長期債を中心に下落(利回りは上昇)。物価指標が予想を下回ったことで米利上げ観測が後退し、円は対ドルで162円台前半で堅調に推移した。
15日の米市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%超下落。注目のオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングの決算は売上高見通しを再度上方修正したものの、好影響は波及しなかった。
半導体大手2社の影響力が大きい韓国株も16日の取引で急落した。サムスン電子とSKハイニックスに連動するレバレッジ型上場投資信託(ETF)を巡る問題に対応する措置を近く発表するとの材料があり、韓国銀行(中央銀行)は約3年半ぶりに利上げを決めた。
りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジストは、米テック株の中でも半導体需給の逼迫(ひっぱく)が追い風になる半導体関連株と、逆風になるハイパースケーラーの株価に明暗が出ることが増えてきたと指摘。「日本株と韓国株は米半導体関連との連動性が強く、しばらく株価は行ったり来たりを繰り返すだろう」との見方を示した。
株式
キオクシアホールディングスや東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、フジクラなど半導体・AI関連銘柄が相場全体の下げを主導。業種別では非鉄金属や金属製品、電機、化学、情報・通信、銀行、機械などが下落率上位に並んだ。
米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が来日中で、三菱重工業やトヨタ自動車、川崎重工業、東京エレク、富士通、ファナックなどとの協業を発表したが、相場への影響は限られた。
日本時間午後2時半には半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)が市場予想を上回る売上高予想や設備投資計画の引き上げを発表し、サプライヤーの東京エレクなどは下げ幅をやや縮めたが、相場全体を押し上げるまでには至らなかった。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、大手半導体などは好決算でも株価が下げることもあり、市場はかなり神経質になっていたと言う。「発表後の関連銘柄の反応を見ると、予想通りかそれより上だと感じた投資家が多かったようだ」とし、イベントを通過したという面でも今後投資家心理の改善につながると指摘した。
半面、輸送用機器のほか、小売りや医薬品や小売りなど内需・ディフェンシブセクターは相対的に堅調。個別ではサイゼリヤがストップ高。社長が価格改定を視野に入れていると発言したことについて、アナリストからは前向きに評価する声が上がった。
債券
債券は超長期債を中心に下落。三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーによると、直近の相場は上昇が続いてきたため、超長期債に利益を確定する戻り売りが出たという。生命保険会社が利回りの低い既発債を売り、利回りが高い新発債を買うポートフォリオの入れ替えを行っている可能性にも言及した。
直近の金利低下要因だった年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国債購入増加への期待については、「インフレや円安などファンダメンタルズは変わっておらず、相場を押し上げる持続性に欠ける」と小口氏は話している。
日本銀行が16日公表した「生活意識に関するアンケート調査」(6月調査)で、1年後と5年後の物価が「上がる」との回答が前回の3月調査から増加した。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円は対ドルで162円台前半で推移。米利上げ観測の後退がドル売り材料になる一方、トランプ米大統領がイランのインフラ施設への攻撃を表明するなど中東情勢の先行き不透明感がドルを下支えした。
米市場で15日に発表された6月の生産者物価指数(PPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比4.7%上昇と市場予想を下回った。イラン戦争が激化する前にエネルギー価格が低下したことがインフレ圧力を抑えた格好で、米スワップ市場が織り込む年内の利上げ回数は1.2回から1回程度に減った。
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は上院銀行委員会で、AIインフラの整備に伴う物価の上昇は必ずしもインフレ的とは言えないと証言した。
一方、米軍は15日にイランへの追加空爆を実施。トランプ大統領はイランがホルムズ海峡での船舶攻撃を停止し、海峡の航行再開に応じるまで空爆を強化し続ける考えを示した。
SMBC日興証券の丸山凜途シニア金利・為替ストラテジストは「中東情勢の悪化が円売り材料になってもおかしくないが、米長期金利低下もドルの足を引っ張っており、ドル・円相場の動きは鈍い」と分析。先行きは「消費減税や給付金など日本の財政拡張が改めて材料視され、緩やかに162円台後半に向かう」と予測している。
--取材協力:アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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