(ブルームバーグ):富士通やファナックなどは16日、米エヌビディアの技術を活用し、フィジカルAI分野で協業することを発表した。ロボットなどを自律的に動かすフィジカルAIは次世代技術として注目が集まっており、日本が強みを持つ産業用ロボットにAI分野トップ企業の知見を組み合わせる。
両社に加えファクトリーオートメーション(FA)大手の川崎重工業や安川電機なども連携する。工場、小売り、物流、ヘルスケア分野などでのフィジカルAIの社会実装に向けて事業検討する。また4社はエヌビディアが主導する「コスモス・コーリション」に参加する。
コスモス・コーリションは、フィジカルAIの開発に役立つエヌビディアの基盤モデルを普及させるための連合体で、韓国のLGエレクトロニクスや中国の理想汽車なども名を連ねている。ロボットに加え、自動運転やスマートビルなども開発対象に含まれており、ほかの日本勢として日立製作所やNEC、コマツ、クボタも同連合に参画する。

ロボットを自律的に動かすフィジカルAIなどAIの現実世界での活用は、日本企業も注力する次の技術テーマだ。日本政府が6月に発表した2040年度までの成長戦略では、フィジカルAIに10兆5000億円の官民投資を見込む。来日したジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は商機を見いだしており、各社と連携を進めている。
16日に富士通などが開いた記者会見に登壇したフアン氏は、「日本の卓越したメカトロニクス技術とフィジカルAIが融合する準備は整っている」と強調。日本企業にとって一世一代のチャンスが到来しており、新分野で存在感を発揮するために迅速に行動に移すことが必要だと述べた。
フアン氏が15日に「今週はジャパンAIの幕開けの週になる」と予告したように、16日には日本の大手企業とのAI関連の協業が相次ぎ明らかになった。エヌビディアネットワークが業界を超えて日本全体に広がっていることが浮かび上がる。
トヨタ自動車にはスマートシティ開発や自動車工場の生産性向上に役立つAI製品を提供すると16日に発表。10年来の提携関係を拡大する。エヌビディアのディープ・タラ副社長は「自動車分野だけでなく、ロボティクスやスマートシティでも、フィジカルAIを推進するために提携を拡大している」と述べた。
具体的にはエヌビディアのAIプラットフォームが、実験都市「ウーブン・シティ」(静岡県裾野市)に導入される見込みだ。また生産現場向けにフィジカルAI開発に役立つ「オムニバース」を提供する。仮想空間に構築した自動車の組み立てラインでさまざまな製造手法を試せるようにして、効率化を図る。

三菱重工業も同日、AIデータセンター向けの冷却システムの開発や展開のために、エヌビディアの技術プラットフォームを利用すると発表した。みずほフィナンシャルグループは、エヌビディアの製品やサービスを導入し、生成AIやAIエージェントの活用に向けた検討を進めると明らかにした。
16日の日本市場全体は下落傾向だったが、エヌビディアとの協業を発表した多くの企業で株価が上昇した。
エヌビディアはロボット開発を後押しする新製品を相次いで投入している。足元ではフィジカルAI向けの基盤モデルのコンパクト版である「Cosmos 3-H」や、ロボティクス用コンピューターの新製品「Jetson T3000」と「T2000」を発表した。
(フアン氏の発言を5段落に追加して更新します)
--取材協力:稲島剛史、長谷部結衣、西沢加奈.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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