(ブルームバーグ):トランプ米政権への働きかけに苦戦してきたウクライナなど米国の主要同盟国は、グラム米上院議員の死去により、ホワイトハウスとの最も有力な橋渡し役の1人を失った。
死去前の3日間、サウスカロライナ州選出のグラム議員は、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、同国のドローン(無人機)製造工場を視察したほか、対ロシア制裁法案を前進させることで上院議員らと合意にこぎ着けていた。

グラム議員にとって、ロシアが2022年に全面侵攻を開始して以降、今回が10回目のウクライナ訪問だった。同氏は、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の関係がぎくしゃくする中でも、トランプ政権2期目の大半を通じて、ウクライナの対ロシア防衛に対する米国の支援維持に尽力してきた。
その前にはトルコで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席し、長年の軍事同盟であるNATOとトランプ氏との緊張緩和にも努めた。
今後、ウクライナや他の米同盟国は新たな支援者を見つけなければならないが、それは容易ではない。グラム氏は、トランプ氏との緊密な関係、上院民主党と協力できる能力、各国首脳との深い人脈を兼ね備えた、独自の手腕を磨きあげていた。
トランプ氏は外国の戦争への米国の関与を終わらせると訴えて2期目当選を果たしたが、グラム氏は介入主義的な外交政策の強力な支持者であり続けた。特に、トランプ氏に対し、イスラエルと共にイランとの戦争に参戦するよう働きかけたことで知られる。
また、「就任初日にウクライナ戦争を終わらせる」との公約を果たせずトランプ氏が不満を募らせる中でも、グラム氏はゼレンスキー氏にとって重要な存在だった。ゼレンスキー氏はトランプ氏との安定した関係の維持に苦心していた。
事情に詳しい関係者によると、キーウではグラム氏の死去は、ウクライナを心から支持し、同国支援に最善を尽くした数少ない共和党議員を失う大きな損失と受け止められている。
ゼレンスキー政権で大統領府長官を務めるキリロ・ブダノフ氏はSNSに「ウクライナは真の友人を失い、米国は最も優れた国民の1人を失った」と投稿した。
グラム氏の死去は、ロシアの弾道ミサイル攻撃が一段と深刻化する中、ウクライナが米国を含む同盟国に対し、防空用パトリオット・ミサイルの追加供与を求めている時期と重なった。トランプ氏は先週、ウクライナによる同ミサイルのライセンス生産を認める考えを示したが、生産開始には時間と労力を要し、大統領との継続的な関与も欠かせない。
キーウのシンクタンク、ペンタ研究所のフェセンコ所長は、グラム氏は常に意見が通ったわけではないものの、トランプ氏周辺でウクライナの利益を代弁する重要な役割を果たしていたと指摘。「われわれにとっての問題は、グラム氏のように上院で強い立場を持ち、トランプ氏に直接働きかけられる人物が他にいるかどうかだ」と語った。
欧州の外交官によると、欧州各国は、グラム氏をホワイトハウスへの重要なパイプ役とみていた。ウクライナ支援だけでなくロシアへの圧力でも重要な役割を担い、外交問題に積極的かつ深い関心を持つ共和党幹部の数少ない1人と受け止められていた。
原題:Lindsey Graham’s Death Deprives Ukraine of Key Trump Whisperer(抜粋)
--取材協力:Ellen Milligan、Volodymyr Verbianyi、Tony Czuczka、Yash Roy.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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