(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループは、台湾の株式取引市場でウォール街の競合を抑え、外資系金融機関として首位に躍り出た。AI関連のエクスポージャーを求めるクオンツファンドの需要急増を捉えた。
取引所データによると、同社は外資系ブローカーとして今年1-6月(上期)に売買代金でJPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなどを上回り、首位に浮上した。2025年初めは10位だった。全体でも4位に入り、台湾の大手地場証券会社に迫っている。
ゴールドマンの市場シェア拡大を主にけん引したのは、高頻度取引とクオンツ顧客向けカバレッジの急速な拡大だ。非公開情報を理由に事情に詳しい関係者が匿名で明らかにした。
台湾証券取引所のデータによると、同取引所におけるゴールドマンの売買代金は1-6月期に前年同期比237%増の12兆5000億台湾ドル(約63兆2000億円)に拡大した。台湾証券取引所全体の売買代金は、ほぼ3倍の119兆台湾ドルとなった。
関係者によれば、ゴールドマンは市場のボラティリティーが上昇する中、売買代金の増加に対応し、自動化を進め、システム停止時間を最小限に抑えるため、取引インフラへの投資を増やした。執行システムを強化して競争優位を得るため、エンジニアも増員したという。
ゴールドマンの取り組みは、台湾株の幅広い大幅上昇と重なる。世界の投資家がAIブームを追い、台湾株は今年58%上昇している。台湾株式市場は数週間で英国、カナダ、インドを抜き、世界5位となった。台湾積体電路製造(TSMC)は先端AIプロセッサーの主要メーカーとして、市場の中核を担っている。台湾サプライヤーの層の厚さも支えとなっている。これらの企業は、テクノロジー供給網の主要分野で優位に立つ。
ゴールドマンの広報担当者はコメントを控えた。
この上昇相場により、テクノロジー株の比重が高い台湾市場には過去最大規模の海外資金が流入している。金融監督管理委員会(FSC)のデータによると、5月時点で外国人投資家は台湾上場株式の約48%を保有していた。
一方、ボラティリティーの上昇もブローカー収益の追い風となっている。市場の変動を測る主要指標、台湾加権指数の90日実現ボラティリティーは、世界金融危機時のピーク以来の高水準に近づいている。
関係者の1人によると、ゴールドマンのアジアプライムブローカレッジ事業では、昨年終盤から26年にかけて顧客残高の伸びが加速している。台湾、韓国、中国が拡大の多くをけん引しているという。
台北にある同社の認可証券部門は、25年の税引き前利益が前年比59%増の34億台湾ドルとなったと財務リポートで明らかにした。同拠点は証券ブローカー業務、ファイナンシャルプランニング、投資助言サービスを手掛ける。ゴールドマンのクロスボーダー業務の全てが、現地法人の業績に反映されているわけではない可能性がある。
一部クオンツファンドの運用資産は、有力なリアルマネーファンドや資産運用会社に比べて規模が小さい。ただ、高頻度取引や高付加価値サービス、証券貸借への需要は、ゴールドマンに大きな価値をもたらしていると、関係者の1人は述べた。
他社も台湾事業を拡大
世界の金融機関はこのブームを取り込むため、業務拡大を急いでいる。取引執行、投資銀行業務、ウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)を巡り、収益性の高い手数料の獲得を競っている。顧客開拓の動きも現地で一段と活発化している。例えばモルガン・スタンレーは5月末、世界の機関投資家と地場テクノロジー企業幹部を結び付けるため、アジアAIカンファレンスを初めて台北で開催した。
シティグループの日本・アジア北部・オーストラリア担当兼バンキング責任者、マーク・ルエ氏は最近のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、台湾と韓国はAIに支えられ、投資銀行業務の有力市場として台頭していると指摘した。従来、同地域の主要な投資銀行手数料プールは日本、中国、オーストラリアが占めていた。
関係者によると、ゴールドマンでは台湾株エクスポージャーへの需要が、クオンツ、ファンダメンタルズ重視のロング・ショート型ヘッジファンド、ロングオンリー投資家など、全ての顧客層で大幅に高まっている。
同社のトレーダーは、可能な場合に顧客間の取引を照合または相殺し、注文フローを内部化する能力を高めている。これにより、削減できた執行コストの一部を顧客に還元できる。手数料引き下げの程度は顧客によって異なるという。
また、同社は顧客に現地市場の知見を提供できる人材の育成を通じ、顧客サービスを強化している。台湾では最近、取引制限対象銘柄を巡る規制や、空売り枠に関する現地ルールが特に顧客の関心を集めているという。
世界の投資家は台湾の地政学リスクを引き続き投資判断に織り込んでいる。どの市場への投資にも伴う通常の要素と見なし、確立されたリスクモデルやポートフォリオのポジション構成を通じて価格に反映させていると、関係者の1人は述べた。
中国は最近、米国に対し台湾関連問題を「極めて慎重」に扱うよう求めた。台湾が米国と中国という世界二大国の関係において極めて扱いが難しい問題である点を改めて浮き彫りにした。
原題:Goldman Becomes Taiwan’s Top Foreign Broker on AI Quant Push(抜粋)
--取材協力:Charlotte Yang.
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