国際通貨基金(IMF)は8日に公表した最新の「世界経済見通し(WEO)」で、今年の世界経済成長率見通しをおおむね据え置いた。AIブームによる経済押し上げ効果が、中東情勢悪化による影響を相殺するとみている。

IMFは改訂版WEOで、「世界の経済活動と見通しは、相反する二つの大きな力に左右され、その影響は国ごとに異なる」と指摘。そのうえで、「世界経済はこれまでのところ、戦争による衝撃を当初懸念されたほど深刻には受けずに持ちこたえている」との見方を示した。

2026年の世界経済成長率は3.0%と予測。4月時点の3.1%から小幅に引き下げた。過去2年間の平均である3.5%も下回る見通しだ。インフレ率の低下に向けた進展も足踏みしていると警告した。

6月に米国とイランが暫定的な和平で合意したことを受け、経済見通しを巡るリスクは3カ月前より改善した。しかし、IMFは「依然として下振れ方向に傾いている」と指摘。中東情勢が再び緊迫化する可能性に加え、貿易の分断が一段と進むリスクや、AIを巡る期待がしぼむ可能性を理由に挙げた。

実際、商船への一連の攻撃を受けて米国がイランに対する空爆を再開したことから、ホルムズ海峡周辺では緊張が再燃している。

IMFは、2027年の世界経済成長率見通しを3.4%とし、4月時点の3.2%から引き上げた。「持続的な和平合意が実現すれば、世界の物流ルートやサプライチェーンは速やかに回復する可能性がある」との見方を示した。

一方、IMFは世界の消費者物価上昇率が従来予想を上回ると見込んでいる。エネルギーや食品価格の上昇を主因として、2026年の上昇率見通しを従来の4.4%から4.7%へ引き上げた。

成長率見通しの引き下げ幅が最も大きかったのは中東地域。サウジアラビアの2026年の成長率見通しは3.1%から1.7%へ引き下げた。一方、米国の成長率見通しは2.3%に据え置いた。

原題:IMF Sees AI Surge Offset War Oil Shock and Keeps Growth Outlook(抜粋)

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