原油価格の反発がハイテク・AI関連の株価を押し上げる

6月29日の米国株式市場は、これまで軟調な展開が続いていたAI関連株が反発した。ナスダック指数は6営業日ぶりに上昇した。ダウ平均も反発し、株式市場全体の強さが目立った。市場では、ハイテク・AI関連株に買い戻しの動きが広がったことに加え、米国とイランの関係を巡る楽観的な見方が広がったことが、株式市場の押し上げにつながったと説明されている。
しかし、直近の米国とイランの関係を踏まえると、情勢が改善しているとは言い難い。具体的には、「米とイランは17日に戦闘終結に向けた覚書に署名したが、26日から攻撃の応酬が再開し、27日も続いていた。28日には双方が攻撃を停止することで合意したと伝わり、トランプ米大統領は29日朝に自身のSNSでイランの要請により、30日にカタールのドーハで協議が開かれると明らかにした」(ロイター)という流れで、「イラン外務省報道官が29日に『今後数日以内の米国との交渉は予定されていない』」(同)との認識も示された。

原油価格も上昇しており、WTI原油先物価格は前週末比+2.2%の70.75ドルとなった。こうした状況を踏まえると、イラン情勢の改善期待が株価上昇の主因であるとの見方にはやや疑問が残る。
実態としては、イラン情勢の不透明感の高まりと原油高を背景に、リスク回避的な資金がAI関連株に流入した可能性が高い。このところは、①原油安→物色の広がり→AI関連株の下落→株式市場全体への下押し圧力、という流れがみられていた。これに対し、この日は②原油高→AI関連株への資金集中→株式市場全体の上昇圧力、という構図となったと考えられる。
景気楽観論の広がりが、かえって株式市場全体の下押し圧力となるなど、相場はやや不安定な状態にある。もっとも、景気敏感株とAI投資の間で資金が行き来する構図が続く限り、株式市場全体の下振れリスクは限定的とみられる。株価は当面、横ばい圏での推移が続く公算が大きい。