米マーケットメーカー(値付け業者)のサスケハナ・インベストメント・グループは29日、中国政府による越境証券会社への取り締まりが公表される前の情報をもとにしたインサイダー取引で、氏名不詳の100人を相手取った訴訟を起こした。少なくとも1億ドル(約162億円)の利益を得たとされる人物の身元特定を目指している。

サスケハナは米ニューヨークの連邦地裁に提訴した。問題となった取引の大半で自社が取引相手だったとし、この取引で約7000万ドルの損失を被ったとして、損失の回復を求めている。近年で最大級のインサイダー取引の一つとみている。

訴状によると、取引の多くは 米インタラクティブ・ブローカーズ・グループの口座のほか、中国当局の取り締まり対象となった富途控股とUPフィンテック・ホールディング傘下にある老虎証券の口座を通じて行われたという。サスケハナは、老虎と富途の一部口座凍結や召喚状の発付を認める裁判所命令を求めている。

老虎、富途、インタラクティブ・ブローカーズはいずれもコメント要請にすぐには応じなかった。サスケハナも訴訟についてのコメントを控えた。

中国政府は5月22日、中国本土から海外市場に資金を移し資本規制を回避しているとして、一部証券会社の処分を発表した。中国国内の営業免許がないまま顧客を勧誘していたとして富途と老虎を名指しした。この発表を受け、両社の株価は急落した。

問題となっているのは、発表までの約2週間に取引されたプットオプション(売る権利)約20万枚だ。

サスケハナによると、複数の口座が株価下落を見越して「高リスク、高リターン」の取引を手掛けた。例えば、ある投資家は富途の株価が124.58ドルだった時点で、中国政府の発表から最長1週間後までに満期を迎える、富途株を102.45ドルで売る権利を持つプットオプションを購入していた。

サスケハナは、こうしたプットオプションの取引に重要な未公開情報が使われたことを示す「強力な証拠」があると主張している。情報は中国の証券規制当局や、富途や老虎のトレードUP部門の関係者から漏れた可能性があるとしている。

取引を行った投資家らは計1200万ドル相当のオプションを購入し、1億ドルを超える利益を得たとされる。リターンは900%を超えたという。

原題:Susquehanna Says It Lost Millions to Mystery Insider Traders(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.