イラン戦争後のエネルギー供給網の再編を見据え、日本の液化天然ガス(LNG)関連銘柄が脚光を浴びている。

中東戦争では、世界のLNG輸出の2割を占めるカタールの施設がイランの攻撃を受けて生産を停止した。カタールはホルムズ海峡再開後、2カ月以内に輸出能力の大半の回復を目指すが、完全復旧には数年を要する見通し。供給リスクが浮き彫りになったことを受けて、米国やオーストラリア、東南アジアなどでLNG供給網の再構築を狙うプロジェクトが増える可能性がある。

「中東の問題は、エネルギー調達でグローバルな構造変化を引き起こすだろう」。シュローダー・インベストメント・マネジメントの豊田一弘日本株式運用総責任者はこう話す。LNG輸出入基地の拡大などの恩恵を受ける日本企業が有望な投資先になり得るとみて、関連銘柄の調査を進めているという。

すでに関連銘柄には投資資金が流入している。米国とイランの和平合意後、LNG輸送向けポンプを製造する日機装や、プラント向けバルブ大手のキッツ、制御システムを手掛ける横河電機などの株価は東証株価指数(TOPIX)をアウトパフォームしている。

プラントやタービン供給などLNGサプライチェーンのあらゆる段階で日本企業の存在は不可欠だ。

岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「日本は伝統的にLNG関連プラントや部材などに強みを持つ。長い目で見るとLNGの供給能力拡大は必要で、日本株のテーマの一つであり続けるだろう」と語る。関連銘柄の中では日揮ホールディングスのようなプラント大手は工事の採算懸念などが浮上する可能性があり、サプライヤーなど周辺銘柄の方がリスクは低いとみている。

LNG関連株への追い風は長続きしないとの見方もある。現時点で新たな大型プロジェクトが具体化しているわけではなく、足元の株価上昇は期待先行の面が強い。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、長期的にはLNGを含めて「化石燃料の需要が大きく伸びるとは考えにくい」とした上で、「中東以外の地域でプロジェクトが増えるかは不透明だ」と話した。

それでも、LNG価格の動向は供給への懸念を映している。世界有数のLNG消費地域である北東アジア向けLNG先物は、イラン戦争前より4割超高い水準にある。

楽天証券の吉田哲コモディティアナリストは「LNGは原油ほど代替調達先が多くないこともあり、東アジアのLNG価格は高止まりしている」と述べた。ホルムズ海峡が再開となっても、機雷除去や施設復旧といった課題が待ち構えているほか、保険料上昇などによる輸送コスト増加も見込まれ、調達先を分散する流れは避けられないとの見方を示した。

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.