(ブルームバーグ):米国とイランが戦争終結に向けた暫定合意に達したことを受け、ホルムズ海峡を通過する原油輸送が増加しており、原油市場の一部では供給過剰の兆しが出始めている。
トレーダーらによると、今回の合意以前から、一部の主要市場では供給がやや需要を上回っていた。戦略備蓄の放出に加え、最大の買い手である中国の需要低迷や、位置情報システムを切った原油タンカーがひそかにホルムズ海峡を通過していたことが背景にあるという。
足元では原油の売り物が増え、欧州やアジアの市場が軟化している。象徴的なのがアンゴラ産原油だ。通常は中国勢が積極的に買い付けるが、足元では約10年ぶりの大幅なディスカウントで取引されている。国際指標の北海ブレント現物を1バレル当たり最大で約10ドル下回ることもある。
アンゴラ産原油の大幅な値引きは、世界の現物原油市場がわずか数カ月で需給逼迫(ひっぱく)状態から供給過剰の兆しがみられる状況へと急変したことを示している。中東産原油市場では今月半ば以降、供給過剰を示唆する「コンタンゴ」と呼ばれる相場構造となっている。北海ブレント原油価格はイラン戦争開始以来初めて、1バレル=75ドルを下回った。

ゴールドマン・サックス・グループのグローバル商品調査共同責任者、ダーン・ストルイベン氏はブルームバーグTVのインタビューで、「アジア勢による中東産原油の引き合いが弱いため、現物市場では期近物が期先物に対してディスカウントで取引されている」と指摘。「ホルムズ海峡の再開は順調かつ迅速に進んでいる」と述べた。
北海ブレント原油の現物価格は4月上旬に1バレル=140ドルを超え、過去最高値を付けた。しかし足元では当時の半値近くまで下落し、戦争開始時の水準にほぼ戻っている。
もっとも、ホルムズ海峡の供給混乱を乗り切る過程で在庫が取り崩されており、今後は補充需要が発生する見通しだ。このため、供給過剰の一部は在庫積み増しによって吸収される可能性がある。
原題:Hormuz Reopening Is Quickly Flooding Oil Markets With Supply(抜粋)
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