(ブルームバーグ):トヨタ自動車が米国販売で再び首位の座を奪還する可能性が出てきた。ガソリンと電気を併用するハイブリッド車の需要拡大が追い風となっている。
調査会社コックス・オートモーティブによると、トヨタの米国市場シェアは上半期に15.8%に上昇する見通し。半面、ゼネラル・モーターズ(GM)のシェアは約1ポイント低下して16.8%になると予想されている。
消費者が今後も燃費性能の高い車に流れ続ければ、トヨタが今年、首位に浮上する可能性がある。
コックスのシニアエコノミスト、チャーリー・チェスブロー氏は、「トヨタにはチャンスがある」と指摘。その上で「現時点ではそう予想しているわけではないが、可能性はある。消費者はハイブリッド車に関心を示しているが、GMは競争できていない」と語った。
もっとも、チェスブロー氏はGMも簡単には首位の座を譲らないと予想。「GMは首位を維持するために販売奨励策を活用するだろう」と述べた。

トヨタがGMの本拠地である米国市場で首位に立てば、歴史的な転換点となる。GMは1931年にフォード・モーターを抜いて以来、2021年に世界的な半導体不足の影響で一度だけトヨタに首位を譲った以外は、トップの座を維持してきた。今回順位が入れ替われば、メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)がハイブリッド車より電気自動車(EV)を優先した戦略的な賭けが裏目に出たことも浮き彫りになる。米国の多くの消費者は完全なEVへの移行に慎重な姿勢を示しているためだ。
GMの報道担当ジム・ケイン氏は、トヨタを上回って販売首位を維持するために奨励金を拡大するとの見方を否定した。GMは利益とキャッシュフローの最大化を目指し、値引き販売を抑制しており、過去3年間は販売奨励金を業界平均以下に維持してきた。
「生産や価格設定、販売奨励策については、これまでも規律ある運営を続けてきた。それは実績が示している」とケイン氏は述べた。
トヨタの広報担当者は、同社が米国販売首位を獲得する見通しかどうかについて、現時点でコメントしなかった。
ハイブリッド車が勢い
5月までの累計で、ハイブリッド車を含めたトヨタの電動車販売は、前年同期比5.6%増加した。一方、米自動車市場全体は今年縮小すると見込まれている。
これに対し、GMとフォードが強みを持つフルサイズ・ピックアップトラックとスポーツタイプ多目的車(SUV)の販売はともに減少している。イランとの戦争を背景にガソリン価格が1ガロン当たり約4ドルまで上昇していることが影響している。

トヨタは今週初め、ベストセラー車種RAV4の最新モデルの生産を、米ケンタッキー州レキシントン近郊の工場で開始した。新型RAV4はハイブリッド車のみの設定となっている。
人気の高いコンパクトSUVの供給不足を緩和するため、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキーのケリー・クリーチ社長は、同工場での生産を今年10万台まで引き上げ、カナダと日本からの輸入を補完する方針を明らかにした。
クリーチ氏はインタビューで、「立ち上げはかなり速いペースで進む」と述べ、「カナダ工場でのRAV4生産立ち上げで得た経験を生かし、30日後にはフル稼働に到達する」と語った。
トヨタは米国市場で20車種超にハイブリッド車を設定している。一方、GMはハイブリッド仕様のコルベットのみを展開している。
チェスブロー氏は、「トヨタは幅広い車種ラインアップが必要という考えを貫いた」と述べ、「中型車もコンパクトカーもそろえている。一方、デトロイトのビッグスリーはより限定的な車種に注力している」と指摘した。
GMがEVへの大規模投資を決断した当時は、テスラの販売と株価が急伸し、世界各国の規制当局が排出ガス規制を強化していた。GMにとってハイブリッド車はコストのかかる過渡的な技術と位置付けられたため、バーラCEOはEVへ一段と経営資源を振り向ける判断を下した。
「EVはウォール街を満足させるためだった」と、コックスの業界分析担当ディレクター、ステファニー・バルデス・ストリーティ氏は述べ、「テスラのような企業価値評価を得たいという狙いがあった」との見方を示した。
原題:Toyota Threatens GM’s Sales Crown as US Hybrid Demand Surges (1)(抜粋)
(第6段落以降を追加して更新します)
--取材協力:ドーソン・チェスター.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.