ベッセント米財務長官は23日夜、「強いドル政策」を堅持することと、為替レートだけを単独で見ることは別だとの認識を示した。

ベッセント氏はエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークでの講演後の質疑応答で、「人々が強いドルについて語るとき、それはブルームバーグ・ドル指数のことではないと思う」と述べた。

その上で、「それは税制の予見可能性、規制の予見可能性、エネルギー面の予見可能性のいずれであれ、人々がこの国に来たいと思うような基盤を整備することを意味していると考える」と語った。

さらに、強いドルと強力な製造業部門を支持することの間に矛盾はないとの考えを表明。「ドイツが工業大国だった時代も、強い通貨の下でそれを実現していた」とし、強い通貨によって効率化や技術革新、生産性向上が促されたと指摘した。

今年年初め以降の米ドル下落については、「朝起きて、ドル安が経済を助けてくれて良かったとは考えない。単に画面上の価格だと考えている」と話した。

他方で、低コストの製造業国による自国通貨の抑制は米国に不利に働く可能性があるとコメント。「私はよく考えるが、必ずしも強いドルの問題ではない。東南アジアを例に挙げると、それは彼らが最も為替管理を行っている地域だからだが、問題はむしろ他通貨の弱さなのかもしれない」と語った。

FRB議長への信頼表明

ベッセント氏このほか、先月就任したウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長への信頼を示すとともに、イラン情勢の沈静化に伴いインフレ率は鈍化するとの見方を示した。

ベッセント氏は「FRB議長がインフレと経済成長の双方にとって最適な道筋を導くと確信している」とコメント。ウォーシュ議長がトランプ大統領から利下げ圧力を受けるかとの質問に対し、大統領がウォーシュ氏の就任宣誓式で同氏の独立性に言及していたことを強調した。

トランプ氏はかねて米金融当局に利下げを求めているが、今月16、17両日に就任後初の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に臨んだウォーシュ議長は、他のメンバーと全一致で政策金利据え置きを決めた。

インフレ再加速を受けて、当局者は利下げ検討から姿勢を転換しつつあり、ウォーシュ議長を除く当局者が予想を提出した金利予測分布図(ドット・プロット)に基づけば、年内利上げが必要になるとの見方も全体の半数にまで増えている。

ベッセント氏は「債券市場はりゅう弾砲よりも多くの政権を倒してきた」ことをトランプ氏は理解し、大統領は「FRB議長が正しい判断を下すと全面的な信頼を寄せていると私は考える」と述べた。これは、インフレによって長期金利が押し上げられ、それが政治的な影響を及ぼすことに言及した発言と見受けられる。

インフレ鈍化見込む

ベッセント氏はまた、米国とイランの交渉担当者が戦争終結に向けて協議を進めていることを受け、消費者物価の上昇率は鈍化するとの見方を示した。

イランでの戦争はエネルギー価格の急騰を招いたが、「われわれは今、この紛争を乗り越えた段階にあると考えている。ガソリン価格は再び下がり、インフレ率も当局目標に戻るだろう」とベッセント氏は述べた。

イラン産原油の販売を認める60日間の制裁適用除外措置を巡っては、「世界市場全体にとっての利益だ」とした上で、イランとの「交渉プロセスの一環」だとの認識を示した。

ベッセント氏は講演で、米国の経済戦略の基本原則を列挙し、第2次世界大戦後の自由主義的な原則から脱却する必要があるとの考えを表明した。そうした原則は「実現しなかった前提」に基づいていたと指摘した。

その代わりとして、米国は外国からの威圧に対する脆弱(ぜいじゃく)性の低減に注力するとともに、同盟国やパートナー諸国に相互主義を求めるべきだと述べた。

原題:Bessent Signals Confidence in Warsh, Sees Inflation Coming Down、Bessent: Strong Dollar Concept Isn’t About the Exchange Rate(抜粋)

(6段落目以降にFRB議長やインフレ見通しに関するベッセント氏の発言を追加して更新します)

--取材協力:Cecile Daurat.

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