23日の米国株急落を受け、S&P500種株価指数は重要な転換点に差しかかっている。テクニカル分析を重視する市場関係者は、売り局面の最悪期を脱したかどうかを見極める手掛かりとして、主要なテクニカル上の節目を注視している。

ただ、相場が下支えを得るまでには、なお一段の痛みを伴う可能性がある。テクニカルアナリストは、S&P500の23日終値を約1%-6%下回る水準に、短期から長期にかけて意識される下値支持線があるとみている。

S&P500は23日に1.4%下落し、7365.46で取引を終えた。AIを追い風とするテクノロジー株上昇の持続性に疑念が生じ、半導体株が大きく売られた。ナスダック100指数は3.3%安となった。

株式相場の上昇が行き過ぎていたことを示す兆候は、数週間前から積み上がっていた。23日の下落前には、好調な企業決算を背景に半導体株やAI関連企業が買われ、ナスダック100は3月30日以降で31%余り上昇していた。S&P500は22日終値までの約3カ月で17%余り値上がりし、時価総額は10兆ドル(約1610兆円)余り増えた。

パイパー・サンドラーのテクニカル市場分析を率いるクレイグ・ジョンソン氏は「この大幅上昇の後、株式相場は勢いを失いつつある」と指摘。同社は顧客に対し、割高なテクノロジー株から分散し、金融や資本財などバリュー株の一角にエクスポージャーを増やすよう助言している。同氏は「指数が早期に新高値を突破できなければ、押し目買いの投資家は失望し、上昇は持続しない」と述べた。

米国とイランの和平協議が始まった後も、トレーダーがボラティリティーの高い相場展開に備えているのは明らかだ。株価恐怖指数とも呼ばれるCBOEボラティリティー指数(VIX)は一時20を上回った。市場のストレス増大を通常示す節目だ。

テクニカル上の水準は重要だ。テクノロジー企業のバリュエーションや地政学的混乱、金利上昇への懸念を巡る不安がいかに強くても、ある時点ではテクニカル要因とポジショニングが短期の株価動向を左右する。S&P500が過去5営業日のうち4営業日で下落する中、テクニカル重視の市場関係者にとって今がその局面だ。

このため、ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのテクニカル戦略責任者、マーク・ニュートン氏は、短期的な下値支持線として7237.85に注目している。これはS&P500が6月9日に付けた今月の日中安値だ。5日に発表された雇用統計を受け、年内利上げ観測が強まった後、トレーダーが大型テクノロジー株を売り、ディフェンシブ銘柄を買う動きに走った際に付けた安値だった。

ニュートン氏は「強気姿勢を維持し、この下落局面をエクスポージャー積み増しの機会と捉えるのが適切だ。この6月安値が下値支持線となる」と述べた。

さらに下落すれば、同氏は7000を次の節目として注視する。S&P500は春の下落前、1-3月(第1四半期)にこの水準で新高値を付けていた。その後は6900が長期の下値支持線となるとみる。年初にS&P500の上値抵抗線となっていた水準だ。ただ、足元ではこの節目をまだ約400ポイント上回っていると、同氏は付け加えた。

ロス・キャピタル・パートナーズのテクニカル戦略担当者、JC・オハラ氏は、S&P500が7400を下回って推移すれば7340付近で下支えされる可能性があるとみている。これは50日移動平均線付近で、23日終値をわずか0.4%下回る水準だ。同氏は「このレンジは、株式を買う好機となり得る」と語った。

フィボナッチ分析を重視するトレーダーにとって、7000をやや下回る水準は、3月の取引時間中安値から6月高値までの上昇分の50%押しに当たる。オハラ氏は「通常を上回る売り圧力を受けた場合、自然に調整が入り得る水準だ」と述べた。

S&P500が7000まで下落した場合でも、商品投資顧問(CTA)と呼ばれるトレンドフォロー型のクオンツファンドは、米株を買い続けるとみられる。UBSグループのアナリスト、ニコラ・ル・ルー氏とマックスウェル・グリナコフ氏が指摘した。グリナコフ氏によれば、CTA各社は7000近辺で米株のポジションを「極めて大きなロング(買い持ち)から、ロングを縮小し始める可能性はある」が、「なおロング」だという。

ナスダック100については、トレーダーは2万9300を下値支持線として注視している。過去1カ月に押し目買いが入ってきた水準だ。次に注目されるのは2万8930で、これは5日に付けた日中安値だ。5日には、堅調な雇用統計を受けて連邦準備制度の次の政策変更が利上げになるとの見方が強まっていた。それより下では、オハラ氏はナスダック100の50日移動平均線近辺の2万8679を注視している。

足元の株式相場が弱い背景には、3月安値から6月高値にかけてS&P500を20%近く押し上げてきたテクノロジー株の失速がある。その結果、相場は景気減速や消費者信頼感の低迷に敏感なセクターに頼る形となっている。

テクニカル分析の専門家は、持続的な上昇の兆候として、買いが幅広い銘柄に広がるかを見極めたい考えだ。

パイパーのジョンソン氏は「崖っぷちにいるように感じる」と述べた。「市場バブルに向かっているのか。新高値の突破を目前にしているのか。株価は崩れ始めているのか。誰にも分からない」と語った。

原題:Stock Traders Scour for Technical Levels to Lure Dip Buyers (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.