(ブルームバーグ):米宇宙開発企業スペースXは今月実施した新規株式公開(IPO)が過去最大を記録し、歴史に名を刻んだ。だが、債券市場では疑問の声がより多く聞かれる。
事情に詳しい複数の関係者によると、イーロン・マスク氏率いる同社は23日、5本立てで総額250億ドル(約4兆円)の起債を実施した。初の社債発行となったが、米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は比較的大幅だった。
関係者によると、10年債のスプレッドは1.4ポイントで決まった。当初の協議時に比べて約0.25ポイント縮小したものの、同程度の格付けを持つインテルの10年債の取引水準を約0.5ポイント上回った。
スペースXの社債は、投資家の関心を引き付けるのに十分な利回りを提供している。公に話す権限がないため匿名を条件に語った関係者によると、注文額は約900億ドルに達した。今年の投資適格級債の起債では、募集額に対する需要は平均で約4倍となっていることが、ブルームバーグ集計データで示されている。
ただ、事情を知る別の関係者によると、需要が最も強かったのは今回の起債で最も償還期限が短く、従ってリスクも最も低いトランシェだった。こうした需要の偏りや、同社が支払う上乗せ利回りの大きさは、スペースXのキャッシュフローに対する懸念を反映している可能性が高い。同社は資金を消費し続けており、S&Pグローバル・レーティングによれば、その状況は2030年まで続く公算が大きい。さらに、来年にキャッシュバーン(現金燃焼)のペースが大幅に加速する見通しだ。スペースXの売上高は増加が見込まれるものの、支出はそれを上回るペースで膨らむと予想されている。
ショアクリフ・アセット・マネジメントの創業者兼最高投資責任者(CIO)、グラント・ナックマン氏は「株式投資家は上昇余地の恩恵を受けられるが、債券保有者はそうではない」と指摘。「そのため、リスクに見合った対価を得る必要がある。企業価値が数兆ドル規模であっても、債券市場で資金を調達するには相応のスプレッドを支払わなければならない理由はそこにある」と述べた。

また、スペースXは今後数年間にわたりデット市場でさらに数十億ドル規模を借り入れると見込まれており、社債投資家にとっては今回急いで買い向かう必要性が薄いとの見方もある。
原題:SpaceX’s Shortest-Dated Debt Is Biggest Lure in $25 Billion Sale(抜粋)
(条件決定などを追加して更新します)
--取材協力:Kevin Kingsbury、Dan Wilchins.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.