(ブルームバーグ):カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は23日、米国への過度な投資が世界の金融システム全体に調整リスクをもたらしていると警鐘を鳴らした。
米国、中国、欧州の間で拡大する貿易・資本フローの不均衡が、金融面で大きな脆弱(ぜいじゃく)性を生み出しており、潜在的に過大評価されている米国市場から投資マネーが急激に引き揚げられる恐れがあると述べた。
「米国への巨額の資本流入は再び誤った形で配分され、株式や信用市場のバリュエーションを押し上げ、痛みを伴う調整を招きかねない」と、パリでの講演で述べた。その上で「こうした資本フローは突如反転する可能性がある。いずれの結果になっても、その影響は米国の国境を越えて広がり得る」と警告した。
こうした世界的な不均衡は特定の国・地域によって引き起こされているのではなく、欧州の投資不足、米国の低い貯蓄率、中国の消費低迷が重なり合い、米国への過剰な資本流入を招いているとの認識を示した。
「資本フローが過度になると、貿易不均衡を拡大させ、保護主義を助長し、資産価格をゆがめる恐れがある。資本配分は非効率となり、ひずみが蓄積して金融安定リスクが高まる」と述べた。
世界的な貿易不均衡を巡る議論の多くが、中国の巨額の貿易黒字や、輸出を通じた過剰生産能力の海外への転嫁に集中していると指摘した。しかしながら、資本フローの不均衡にも目を向ける必要があるとし、各国・地域は関税政策や通貨切り下げに頼るのではなく、自らの不均衡を是正する国内政策に重点を置くべきだと主張した。
「関税や通貨切り下げを通じて国内の不均衡に伴うコストを外国へ転嫁しようとしても、うまくいかない。貿易戦争による相互の損害は、全ての国の成長と生活水準を押し下げる」と述べた。
また、米国への資金集中を緩和するためには、他国でも投資機会を創出する必要があるとの考えを示した。その一環として、安全資産の供給拡大などを通じて、米国外への投資の魅力を高めることが重要だと指摘した。

原題:Macklem Warns Over-Investment in US Poses Financial Risks (1)(抜粋)
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