(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)は16、17両日に開いた定例会合で政策金利を据え置いた。年内の利上げ実施を見込むかどうかについては、見解が分かれたが、利上げ支持へ傾斜した。
米連邦準備制度理事会(FRB)議長就任後、初のFOMC会合を終えたウォーシュ議長は、物価を安定させると記者会見で表明した。
「高止まりする物価は米国民の負担となっている。しかし、直近の状況が将来を決定づけるわけではない」と発言。金融当局は「極めて明確で、意見が一致している。この委員会は物価安定を実現する」と語った。
当局者の最新の見通しによると、9人が年内に少なくとも0.25ポイントの利上げを1回実施すると予想し、このうち6人は少なくとも2回の利上げを見込んだ。一方、別の9人は据え置き、または利下げを予想した。
ウォーシュ議長は当局者の金利予測について、「強い確信はあまり感じなかった」と述べ、さほど重視していない姿勢を見せた。また多くの当局者が経済見通しに対して高い不確実性を指摘していたとも述べた。今回の会合での金利を巡る議論について問われると、「家族同士のけんかのような率直な議論があった」と語った。
いわゆるフォワードガイダンスに批判的なことで知られるウォーシュ議長は、金利見通しの提出を見送った。
今回のFOMC定例会合では、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.5-3.75%のレンジに据え置くことを全会一致で決定した。
FOMC声明が発表されると、米国債が売られ、ドルは上昇、株式は下落した。議長の記者会見後、短期金融市場では10月までの利上げが完全に織り込まれた。
声明
会合後に公表した声明では、インフレ率は依然として高水準にあるとし、「委員会は物価安定を実現させる」と表明した。
経済成長については引き続き「堅調」との認識を示した。当局者は生産性の伸びと設備投資も力強いと評価した。
今回の声明は最近のものと比べて短くなった。FRBのコミュニケーション戦略の見直しを表明しているウォーシュ氏の下で、今後見られる変化の兆しかもしれない。
ウォーシュ議長は先月、「レジームチェンジ(体制の変革)」を掲げてFRBに着任した。この日の記者会見の冒頭では、FRBの運営方法の見直しにつながる変更案を検討するため、5つの分野を対象とした複数の作業部会を設置すると発表した。
作業部会はコミュニケーションと、バランスシート、FRBの「既存データソースの利用と依存」、生産性と雇用、そしてFRBにおける「インフレの枠組み」を検証する。
ウォーシュ議長はまた、2%のインフレ目標を見直すことを否定。「2%のインフレ目標を達成するわれわれの決意と能力を改めて確立するまでは、それを見直す理由は見当たらない」と述べた。
経済予測
当局者は中東紛争が始まった直後の3月に公表した経済予測に、複数の修正を加えた。
見通しの中央値では、2026年のインフレ率予想は2.7%から3.6%へ上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアインフレ率見通しも、2.7%から3.3%へ引き上げられた。
成長率見通しの中央値は、3月予測の2.4%から2.2%へ引き下げられた。一方、2026年末時点の失業率見通しの中央値は4.4%から4.3%へ低下した。
トランプ大統領はフランスで記者団に対し、FRBが政策金利の据え置きを決めたことについて問われ、「別に構わない。どうであれ」と述べた。
利上げの可能性について質問されると、「信じ難い話だ。それは経済の重しになるし、極めて異例だ」と語った。「ただ、今はあそこに非常に優秀な人物がいる。だから私は彼が望むことに従う」と述べた。
年初の時点では、労働市場の脆弱さと比較的落ち着いたインフレ見通しを背景に、多くのFRB当局者は2026年に追加利下げがあり得ると考えていた。しかしその後、政策当局者を取り巻く経済環境は大きく変化した。
5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数がブルームバーグ調査のエコノミスト予想を全て上回った。失業率は4.3%で前月から変わらずだった。労働市場が長期の雇用低迷局面から抜け出しつつある兆候が明確に示唆された。
一方、4月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比3.8%上昇と、2023年以降で最大の伸びを記録した。消費者物価と生産者物価の別の指標も、5月に約3年ぶりの高い伸びとなった。
こうした動きはイラン戦争だけでなく、人工知能(AI)向けインフラ投資急増に伴う価格圧力の波及によっても引き起こされている。
原題:Fed Officials Edge Closer to Rate Hikes as Warsh Takes Helm (1)(抜粋)
(記者会見での発言を加え、最近の米経済指標など背景情報を加えます)
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