米飲食大手ヤム・ブランズは、傘下のピザチェーン「ピザハット」を27億ドル(約4330億円)で売却する。苦戦が続く同チェーンを切り離し、好調な「KFC」と「タコベル」に注力する。

ヤムは16日付の発表資料で、中国を除くピザハット事業をプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ロングレンジ・キャピタルへ15億ドルで、中国事業をヤム・チャイナ・ホールディングスへ12億ドルで、それぞれ売却すると明らかにした。売却は7-9月(第3四半期)に完了する見通し。

ヤム株は16日午前のニューヨーク市場で一時3.6%上昇後、1.9%高で取引を終えた。同日終値までの年初来変化率は4.2%の上昇で、S&P500種株価指数の9.7%上昇を下回っている。

投資家は、ヤムによるピザハット売却を予想していた。ヤムは1997年に米飲食料品メーカー、ペプシコから分離して以降、同事業を保有してきた。今回の売却によってヤムは主力事業に一段と集中できると、ブルームバーグ・インテリジェンスのマイケル・ヘイレン氏は指摘した。

同氏は「これによりヤムは、人材、エネルギー、資本といった経営資源を、成長力が極めて高いチェーン一つと、堅調に成長するチェーン一つに振り向けられる」と述べた。

ブルームバーグは5月、ロングレンジがピザハット買収を巡りヤムと独占交渉に入ったと報じていた。ヤムは昨年、生地が厚くバター風味のパンピザで知られる同チェーンについて、停滞する売上高を立て直す取り組みが数年続いた後、戦略的見直しを進めていると説明していた。

グローバルデータのマネジングディレクター、ニール・ソンダース氏は、メニュー革新、マーケティング、注文技術、配送インフラなどの分野で、ドミノ・ピザがピザハットを上回ってきたと指摘した。ピザハットは、店内で気軽に外食する客層にも選ばれにくくなっている。そうした客は、メニューの豊富さや現代的な店舗環境を求めているためだ。

レストラン調査会社テクノミックのデータによると、ピザハットの米国事業は近年、競合他社を下回って推移してきた。コロナ禍には米国人の宅配注文増でピザ業界に追い風が吹いたが、その後は売上高の伸びが鈍化。客足を伸ばそうと各チェーンが多くの販促策を打ち出す中、ピザハットは競争に苦戦してきた。

ヘイレン氏は「これほど販促色の強い環境は見たことがない」と述べた。ピザハットについては「商品の質が良くなく、米国では店舗立地が問題だった。大型店舗を抱えているが、店内で食事をする客は来ていない」と語った。

ブルームバーグが集計したデータによると、ヤムの売上高に占めるピザハットの割合は2019年以降、毎年低下。25年には約12%と、6年前の18%超から縮小した。この間、ピザハットの売上高は10億ドル前後で推移した一方、ヤム全体の売上高は約47%増え、昨年は82億ドルに達した。

今回の売却後、ヤムには年間売上高35億ドルの最大ブランドであるKFC、タコベル(30億ドル)、ハビット・バーガー・アンド・グリル(5億7000万ドル)が残る。

ソンダース氏はリポートで「ピザハットはグループ全体の堅調な業績の重しとなってきた」と指摘。「KFCとタコベルの好調な業績は、ピザハットの継続的な売上高減少と利益低下に覆い隠されてきた」と述べた。

一方、ヤム・チャイナは、中国のピザハット事業取得によって、同社が中国最大のカジュアルダイニング・ブランドと説明する事業を傘下に収める。同事業の昨年の売上高は23億ドル。ヤム・チャイナは、3月末時点で約4400店だった店舗数を28年までに6000店超へ増やす計画だ。

ロングレンジは、米スポーツジムチェーンの24アワー・フィットネスなどの企業も保有している。

原題:Yum to Offload Struggling Pizza Hut Chain for $2.7 Billion (3)(抜粋)

--取材協力:Michelle F Davis、Erinn Gardner.

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