米銀ゴールドマン・サックス・グループの投資銀行部門が、企業の合併・買収(M&A)助言業務で新たなスピード記録を打ち立てた。

ゴールドマンは今年これまでに総額1兆ドル(約160兆円)を超えるM&A案件で助言を手がけており、この節目に到達したスピードとしては過去最速となった。投資データ分析会社ディールロジックがデータをまとめた。

ブルームバーグが集計したデータによると、今年これまでに発表されたM&A案件総額は約1兆7000億ドルに達している。この水準は、M&A市場が過熱した2021年の同時期とほぼ同じだ。今年の集計には米宇宙開発企業スペースXと人工知能(AI)スタートアップ、xAIの統合は含まれていない。両社はいずれもイーロン・マスク氏が率いている。

2021年にゴールドマンが案件総額1兆ドルに達したのは7月中旬だった。今年は同行に最も近いライバルでも1兆ドルまでなお約3000億ドル不足しているとディールロジックのデータは示している。

相次ぐ大型案件が、ゴールドマンの1兆ドル到達を後押しした。約200件の助言案件のうち最大級は、ドミニオン・エナジーのネクステラ・エナジーへの身売り(1180億ドル)やユニリーバによる食品部門のマコーミックへの売却(448億ドル)、ブラックロック傘下グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズとEQTによるAES買収(企業価値=EV=334億ドル)が含まれる。

ゴールドマンのグローバルM&A責任者スティーブン・フェルトゴイズ氏はインタビューで、「今年は大型案件の年だ」と指摘。

「過去にも活発な年はあった。2021年は言うまでもなく非常に活発だった。そして、われわれは自分たちのキャリアの中で再びあの水準に匹敵する取引量を目にすることがあるのかと思っていた。勢いは続いている。業界や地域を問わず、小規模案件から超大型案件まで協議が続いている。ほぼ全面的な広がりを見せている」と語った。

今年の記録的なM&A急増は、地政学や経済、さらにはAI波及効果を巡る不確実性があるにもかかわらず、2026年がM&Aにとって例外的な年になるとの予想を裏付けている。M&A関係者は企業に対し、理想的な案件を実現する絶好の機会を活用するよう促している。

フェルトゴイズ氏は規制環境の追い風や潤沢な資金を集めることができる状況、M&Aに前向きな株主といった要因を背景に、企業が行動を起こす自信を強めていると述べ、「世界には確かにリスクが存在するが、それでもこれほどの活動水準が見られるのは、企業が非常に長期的な戦略視点で物事を捉えているからだ」と分析した。

場合によっては、不確実性そのものが規模の拡大、ひいてはM&Aの魅力を高めている。

同氏は「AIによって、多くの企業が規模の重要性は以前にも増して高まっていると考えるようになっていることは間違いない」と説明した上で、「不確実な海を進む上で、規模は安定した船になるとの考え方がある。そのことも人々の行動を強く促している」との見方を示した。

原題:Goldman Tops $1 Trillion of M&A, Fastest Ever to Reach the Mark(抜粋)

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