米金融当局は17日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.5-3.75%に4会合連続で据え置く決定を下す見通しだ。

インフレ高進で家計の購買力が損なわれる一方、トランプ大統領は引き続き利下げを求めており、5月22日に就任したばかりのウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長は早くも試練に直面することになる。

ウォーシュ議長にとって、17日まで2日間の日程で開かれるFOMC会合は就任後初となるが、幾人かの当局者は根強いインフレに懸念を強めている。米国とイスラエルによる対イラン戦争を受けてエネルギー価格が急上昇し、こうした懸念は増す一方だ。

当局者の幾人かは、利上げを正当化する可能性があると認識するシナリオの概要を提示。FOMC会合後に発表する声明について、次の動きが利下げの可能性があると示唆する文言を取り除きたい考えだ。

このような文言の微調整は今回の会合で現実となる可能性がある。その場合、ウォーシュ議長は微妙なバランスを取ることが必要になる。ウォーシュ氏はトランプ氏が議長に指名する前の段階で、大統領の利下げ要求と歩調を合わせる姿勢を示唆していた。

議長となった今、ウォーシュ氏はインフレ高止まりの状況や、それについての他の金融当局者の懸念に対処しなければならず、大統領の要望を実現することは一段と困難になっている。

FF金利先物市場の動向に基づけば、投資家は米金融当局が12月までに利上げする確率を80%強とみている。

FOMCは17日午後2時(日本時間18日午前3時)に声明と最新の四半期経済予測を公表し、2時半からはウォーシュ議長が初の記者会見に臨む。

最新経済予測

インフレ率を当局目標の2%に再び抑制する取り組みについて、ウォーシュ議長がどの程度強力な支持を表明するか、投資家は発言内容を精査することになりそうだ。記者会見では、米国とイランの暫定和平合意のニュースがインフレや米経済全般を巡る見通しにどう影響するかについて、記者団からウォーシュ議長に質問があると想定される。

JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏はウォーシュ議長について、「債券市場の信認を確保しなければ、直ちにマイナスの影響が生じ、一段と大幅なリスクプレミアムが金利に織り込まれて経済全体に悪い結果をもたらすだろう」との見方を示した。

米金融当局は17日の会合後、各当局者の政策金利見通しを示す金利予測分布図(ドット・プロット)を含め、最新の経済予測を公表する予定だ。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査では、当局者がインフレ予想を大幅上方修正するとともに、利下げ時期が2027年以降にずれ込むとの見通しを示すとの予想が明らかになった。

3月に公表された前回の四半期経済予測では、当局者の予想中央値として、26年と27年に0.25ポイントの利下げを1回ずつ行うとの見通しが示されていた。

ウォーシュ議長はかねて、政策金利の道筋について見通しを示唆するフォワードガイダンスを批判しており、FRBウオッチャーは議長がドット・プロットに自身の予想を反映させたかどうか、注視すると考えられる。FOMCの参加者は正副議長を含むFRB理事7人と地区連銀総裁12人を合わせた計19人。

レジームチェンジ

Photographer: Al Drago/Bloomberg

このほか、ウォーシュ議長は連邦準備制度の「レジームチェンジ(体制転換)」を目指す意向を以前から示しており、会見では詳細な説明を求める質問がありそうだ。議長は連邦準備制度のコミュニケーション戦略の刷新や、バランスシート圧縮、インフレモデルの見直しを目指す考えを示唆している。

こうした変革の多くは、FOMC参加者による表決ではないにしても、その支持を取り付ける必要がある。同僚である当局者は、経済や潜在的な組織改革を巡って自分たちの見解をウォーシュ議長が会見で的確に伝えるかどうか、耳を傾ける公算が大きい。

FRBウオッチャーは、ウォーシュ議長がトランプ氏との関係にどのように対処する考えなのかも見極めようとしている。トランプ氏は一貫して利下げを求め、強い政治的圧力をかけてきた。ウォーシュ議長に対してはホワイトハウスから十分に独立できないとの批判があるが、本人はそうした懸念を退けている。

FRBの元上級政策顧問、ロバート・テトロー氏はウォーシュ議長について、保守系シンクタンクのフーバー研究所のフェロー時代や、積極的なインフレ抑制派として知られたFRB理事(2006-11年)当時の考え方が、どの程度残っているのか注目すると語った。

テトロー氏は「彼は自身の立場を示す幾つかの目印を示すかもしれない」とし、ホワイトハウスに歩調を合わせるのであれば、「経済状況に関係なく利下げの理由を見つけようとする人物だ。フーバー研究所時代のウォーシュ氏はインフレタカ派だ」と語った。

原題:Warsh Faces First Big Test as Fed Chair: Decision-Day Guide(抜粋)

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