インフレ懸念が和らぐ中で、トランプ大統領は再び利下げを要求するか
米債市場では、再びトランプ大統領とFRBの距離感に注目が集まるだろう。もともとトランプ大統領はFRBに利下げを求めてきたが、イラン情勢が混迷を深めたことでインフレ懸念が強くなり、発言を慎重化させた。インフレ懸念が強い状況で利下げを実施すれば、長期金利がかえって上昇してしまうことは明らかだったからだろう。
足元ではインフレ懸念が和らぐ中で、利下げ余地が回復してきたと、トランプ大統領は考えている可能性がある(少なくとも利上げの必要性はやや低下した)。引き続き、トランプ政権は住宅市場低迷の要因となっている長期金利の高止まり状態を解消したいと考えていると予想され、原油価格の下落を理由に再びFRBに圧力をかける可能性がある(筆者はその可能性が高いとみている)。むろん、トランプ大統領が選んだウォーシュ氏が議長になったことから、これまでほど圧力をかける必要はないという判断になる可能性もあるが、トランプ大統領とFRB(ウォーシュ議長)の距離感には注目が必要である。
前述したように、現状では長期金利は下げ渋っている。仮にトランプ大統領がFRBへの圧力を強めれば、かえって長期金利が上昇する可能性が高いだろう。債券市場では、ウォーシュ議長の下でFRBは独立性を確保していくという見方が強いとみられ、トランプ大統領の介入はリスクとなり得る。
(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)