12日に米ナスダック市場に上場した米宇宙開発企業スペースXは、初日の取引で株価が上昇し、世界有数の時価総額を持つ上場企業の仲間入りを果たした。

前日に実施した750億ドル(約12兆円)規模の新規株式公開(IPO)は史上最大を更新し、購入者に19%のリターンをもたらしたほか、創業者のイーロン・マスク氏は世界初の「トリリオネア(資産1兆ドル以上の大富豪)」となった。

スペースXの株価はニューヨーク時間正午前に取引を開始後、2時間足らずで176.52ドルまで上昇し、公開価格を31%上回った。初値はIPO価格を11%上回る150ドル、終値は19%高の160.95ドル。同社の時価総額は2兆ドル超に達し、株式市場での初日を終えた時点で、世界で6番目に時価総額の大きい上場企業となった。

しかし、記録的なIPOは別の成果ももたらした。マスク氏の企業の支援者だけでなく、人工知能(AI)の成長余地への楽観論を背景に、今年上昇してきた株式市場全体に安堵(あんど)感を与えたことだ。

スペースXは2月にマスク氏のAI開発会社xAIを買収することでAI分野への関与を強めており、今回の上場は現在の市場の主導テーマに対する評価を問うものとなった。同時に、今年中にも上場を予定しているアンソロピックとOpenAIのIPO見通しを占う試金石としての意味合いもあった。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのグロース株運用チームでシニア・ポートフォリオ・マネジャーを務めるロバート・グルエンダイク氏は、「市場や、今後予定されている他の大型IPOにとって好材料だ」と指摘。「少なくとも初日に関しては、明らかに適切な価格設定だった。特にグロース株にとって、市場に楽観的になる材料となるだろう」と話した。

SLCマネジメントのマネジングディレクター、デック・マラキー氏は「取引初日の値上がりとしては、テクノロジー株として通常の範囲内だ」と指摘。「投資家層には、マスク氏は何を手掛けても成功すると信じる人々から、テクニカル分析に基づいて売買する投資家まで幅広く含まれており、この程度の値動きは予想していた。両者がある程度互いをけん制し合う形になっている」と述べた。

グウィン・ショットウェル社長、ブレット・ジョンセン最高財務責任者(CFO)、マスク氏の母メイ・マスク氏らが、上場を祝うためナスダック・マーケットサイトに集まった一方、マスク氏本人はテキサス州スターベースの本社にとどまった。

スペースXは米株式市場の取引開始約1時間前、フロリダ州ケープカナベラルから「ファルコン9」ロケットを打ち上げ、スターリンク衛星29基を軌道に投入した。従業員の多くは打ち上げの準備に追われていた。

ニューヨークのナスダック・マーケットサイトで行われたスペースXのIPOイベントで映し出されるイーロン・マスク氏(6月12日)

マスク氏は取引開始に先立ち、「(カリフォルニア州)エルセグンドの倉庫で始まった小さな会社が、史上最大のIPOを成し遂げるなんて信じ難い」とX(旧ツイッター)で行ったライブ配信で語った。

「率直に言って、もし当時誰かにこんなことが起きると言われていたら『相当強いドラッグでもやっているのではないか』と思っただろう。なぜなら、私はこの会社はいずれ失敗すると思っていたからだ」と続けた。

事情に詳しい関係者によると、IPOには機関投資家と個人投資家から3500億ドル超の需要が集まった。売却株式のうち、機関投資家向けの約70%は、政府系ファンドに加え、いわゆるロングオンリー投資家に配分されたという。

ブラックロックは今回のIPOで約50億ドル相当の購入注文を出したほか、サウジアラビア政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)とクウェート投資庁は、それぞれ10億-50億ドル相当の株式購入を申し込んだ。

関係者によれば、購入注文を出した投資家の約3分の1は、株式の割り当てを受けられなかった。

原題:SpaceX Shares Close 19% Higher After Historic $75 Billion IPO、SpaceX Jumps in First Trades Following Record $75 Billion IPO(抜粋)

(本文第3段落以降に終値やコメントなどを追加します)

--取材協力:Anthony Hughes、Demetrios Pogkas、Jennah Haque、Francine Lacqua、Kate Duffy、Abhishek Vishnoi、Peter Cayer.

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