(ブルームバーグ):インド株式市場の低迷や地政学的懸念でリスク資産への需要が弱まる中、一般世帯が資産を銀行預金に戻すことを検討している。三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が出資するイエス銀行のヴィナイ・トンセ最高経営責任者(CEO)がこうした見方を示した。
インドで6番目に大きい民間銀行を率いるトンセ氏はインタビューで、「逸話的な情報ではあるが、当行でも業界全体でも、一部の蓄えが預金に戻っているのが見られる」と述べた。「株式から定期預金に移すのに良い時期かどうかについて、多くの問い合わせを受けている」と明らかにした。
インド準備銀行(中央銀行)のデータによると、5月15日までの1年間でインドの銀行融資は16.2%増と、24年6月以来の高い伸びとなった。同期間の預金は12.2%増えた。
インド株は新型コロナ流行期の安値から急伸し、24年9月に最高値を付けた。その後は、割高なバリュエーションや他地域での人工知能(AI)ブームで外国人投資家が資金を引き揚げ、イラン戦争に伴う原油高も圧力となっている。インド株投資信託への資金流入は先月、3年ぶりの大幅な落ち込みとなった。
SMBCグループは昨年、24.9%の株式を取得し、イエス銀の筆頭株主となった。当時、この案件は成長するインド銀行セクターへの外国勢による過去最大の投資だった。日本企業を含む多くの企業がインド銀行業に相次いで参入している。
銀行業界で35年以上の経験を持つトンセ氏によれば、イエス銀は三井住友銀行とリテール商品や預金で顧客を相互紹介する契約を結んだ。トンセ氏は以前、インドステイト銀行のリテール事業を率いていた。
イエス銀の株価は今年これまでに3%上昇している一方、銀行株指数全体は約7%下落している。
インドの家計金融資産はここ数年、リターンが従来型の定期預金を上回ったことから、銀行口座から株式や投信へと移る動きが強まっていた。こうした資金は安定性が低いと見なされ、より高い規制要件が適用される。その一部が銀行に戻っている。
今年4月にCEOに就任したトンセ氏によると、1300を超える支店を持つイエス銀は、預金獲得に向けてこうした事業基盤の活用を図る。同氏は、調達コストが一段と高くなる中で成長を追求することを避け、同行は業界全体よりハイペースで預金金利の引き下げを始めたと述べた。
大手のHDFC銀行やICICI銀行、アクシス銀行も小口預金の拡大に注力しており、家計貯蓄を巡る競争が激しい状況が続く中、各行は金利や商品内容を調整している。
原題:SMBC-Backed Yes Bank Sees Indians Tip-Toeing Back to Deposits(抜粋)
--取材協力:Ashutosh Joshi.
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