(ブルームバーグ):米軍は、2日連続でイラン国内の「複数」の標的に対する攻撃を実施したと発表した。これに先立ち、トランプ大統領がイランが暫定的な和平合意に向けた協議を遅らせていると非難していた。
米中央軍は「新たな自衛攻撃」をニューヨーク(NY)時間10日午後5時15分(日本時間11日午前6時15分)に開始したと発表した。
トランプ氏はFOXニュースのインタビューで、ワシントン時間10日にイラン高官らと話し、イラン側が攻撃停止を求めたと述べた。また、トランプ氏は攻撃を近く停止するとした一方、イラン指導部が合意に署名しなければ、米国は明日もイランを爆撃すると語った。
今回の攻撃は、米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」撃墜への報復として9日に実施された攻撃に続くものだ。これは、双方がこれまで合意に到達できていないことに対するトランプ氏のいら立ちが強まっていることを浮き彫りにしている。
4月に合意された停戦が機能しなくなったことを示す新たな証拠ともなった。ただし、米国とイスラエルは、戦争初期に見られた集中的な爆撃作戦には戻っていない。
イランの準国営タスニム通信は攻撃開始前、軍関係者の話として、イラン軍は新たな攻撃に「完全に備えている」とし、米国の新たな標的を攻撃する能力があると伝えた。
イラン国営プレスTVは、ハタム・アルアンビヤ中央司令部の情報として、ホルムズ海峡を巡り商船を含むあらゆる船舶に対して完全に封鎖したと報じた。また革命防衛隊(IRGC)海軍が同海峡を通過しようとした船舶2隻を攻撃したと伝えた。
米中央軍はXへの投稿で、海峡が封鎖されたとのイラン側の主張に反論し、「今夜も商船はホルムズ海峡を出入りして航行を続けている」と主張した。
FOXニュースによると、トランプ氏はイラン国内の標的攻撃に長距離巡航ミサイル「トマホーク」49発が使用されたと述べた。米中央軍は攻撃がどこで行われ、何を対象にしたのか詳述しなかった。
アクシオスのバラク・ラビド記者はX(旧ツイッター)への投稿で、匿名の米当局者の話として、10日の攻撃対象には防空システム、レーダー、ドローン(無人機)の指揮統制部隊などの軍事標的が含まれると伝えた。
イラン外務省は米国が9日の攻撃で民間インフラを攻撃したと非難した。
攻撃を受けて原油価格は急伸し、米ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は一時2.6%高の1バレル=92.39ドルとなった。前日の取引では2%超上昇して取引を終えていた。米株価指数先物は下落し、金は下げ幅を広げた。
今回の敵対行為は、ここ数週間の中で米国とイランによる最も激しい衝突となる。攻撃が一段と激化すれば、米国とイランの断続的な間接協議を頓挫させるリスクがある。
トランプ政権1期目で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏は10日、ブルームバーグに対し、合意に至る可能性には懐疑的だと述べた。「イランは決して合意するつもりはなかった」と語った。
トランプ氏は数カ月にわたり、攻撃強化をちらつかせる一方で、和平合意は手の届くところにあると誇示してきた。しかし、そのいずれも実現しておらず、石油などの輸送にとって重要な航路であるホルムズ海峡は依然としておおむね封鎖された状態にある。
トランプ氏は10日、SNSへの投稿で、米軍は「200隻超の商船」がホルムズ海峡を通航するのを支援し、その結果「1億バレル超の原油」が市場に供給されたと述べた。さらに、同海峡を支配しているのは「イランではなく」米国だと主張した。
トランプ氏の発言に先立ち、ホワイトハウス当局者は、交渉が引き続き進行中だとした上で、合意に達するまで最大限の圧力を維持すると述べた。
イラン学生通信(ISNA)は、戦争終結に向けた外交プロセスについて協議するため、カタール代表団が10日にイランの首都テヘランに到着したと伝えた。
原題:US Launches New Wave of Strikes on Iran Over Stalled Talks (1)(抜粋)
(3段落以降にトランプ氏の発言などを追加して更新します)
--取材協力:Meghashyam Mali、Nicholas Lua、Zoe Ma、Jon Herskovitz.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.