(ブルームバーグ):米軍は、2日連続でイラン国内の「複数」の標的に対する攻撃を実施し、作戦は完了したと発表した。これに先立ち、トランプ大統領がイランが暫定的な和平合意に向けた協議を遅らせていると非難していた。
米中央軍は「新たな自衛攻撃」をニューヨーク(NY)時間10日午後5時15分(日本時間11日午前6時15分)に開始したと発表した。その約4時間後には別の投稿で、作戦は完了し、軍事監視システム、防空施設、通信システムが攻撃対象だったと明らかにした。
米中央軍は「米海兵隊、空軍、海軍の戦力は、米軍や同地域の海域を航行する国際商船に脅威をもたらしていたイランの標的に対し、精密誘導兵器を使用した」と説明した。
トランプ氏はFOXニュースのインタビューで、ワシントン時間10日にイラン当局者と直接協議し、爆撃の停止を求められたと明かした。同氏によると、イラン国内の標的への攻撃には長距離巡航ミサイル「トマホーク」49発が使用された。また、イランが合意に署名しなければ、米国はあす再びイランを攻撃すると強調した。
イラン外務省は11日、米国による攻撃は国連憲章に違反しており、「2026年4月8日付の停戦合意を事実上無意味なものにした」とする声明を発表した。イランは現状について米国に責任があると主張したほか、近隣諸国に対し、米軍による自国領土の使用を認めないよう求めた。

今回の攻撃は、米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」撃墜への報復として9日に実施された攻撃に続くものだ。双方がこれまで合意に到達できていないことに対し、トランプ氏はいら立ちが強めている。
4月に合意された停戦が機能しなくなったことも改めて示された。今回の敵対行為は、ここ数週間の米国とイランの衝突としては、最も激しいものだ。攻撃が一段と激化すれば、米国とイランの断続的な間接協議を頓挫させるリスクがある。ただ、両国は戦争初期に見られたような集中的な爆撃作戦には戻っていない。
ホルムズ海峡
イラン国営プレスTVは10日、ハタム・アルアンビヤ中央司令部の情報として、ホルムズ海峡を巡り商船を含むあらゆる船舶に対して完全に封鎖したと報じた。また革命防衛隊(IRGC)海軍が同海峡を通過しようとした船舶2隻を攻撃したと伝えた。
米中央軍はX(旧ツイッター)への投稿で、海峡が封鎖されたとのイラン側の主張に反論し、「今夜も商船はホルムズ海峡を出入りして航行を続けている」と主張した。イランの複数メディアは、同国当局者がトランプ氏との直接協議を否定したと報じた。
米中央軍による作戦完了の発表を受け、北海ブレント先物は上げ幅を縮小した。アジア時間11日序盤には1バレル=95ドルを上回った後、直近では1.4%高の95ドル前後となっている。金は1%近く上昇し、1オンス=4110ドルとなった。
トランプ政権1期目で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏は10日、ブルームバーグに対し、米イランが合意に至る可能性には懐疑的だと述べた。「イランは決して合意するつもりはなかった」と語った。
トランプ氏は10日、SNSへの投稿で、米軍は「200隻超の商船」がホルムズ海峡を通航するのを支援し、その結果「1億バレル超の原油」が市場に供給されたと述べた。さらに、同海峡を支配しているのは「イランではなく」米国だと主張した。
トランプ氏の発言に先立ち、ホワイトハウス当局者は、交渉が引き続き進行中だとした上で、合意に達するまで最大限の圧力を維持すると述べた。
原題:US Strikes Iran in Trump Escalation Over Stalled Peace Talks (1)、Iran Foreign Ministry: US Attacks Render Ceasefire ‘Meaningless’(抜粋)
(イラン外務省のコメントを5段落目に追加し更新します)
--取材協力:Meghashyam Mali、Nicholas Lua、Zoe Ma、Jon Herskovitz.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.