(ブルームバーグ):大阪大学は資金運用を大幅に見直す。長期資金約250億円のうち、今後3-5年程度で6割をプライベートクレジットを含むオルタナティブ(代替)資産に振り向ける。現在約4割ある現預金はゼロにする。インフレへの抵抗力も高めながら収益拡大を目指す。
昨秋、最高投資責任者(CIO)に就任した長谷川英俊氏は、「オルタナティブを中心としたポートフォリオの構築が私のミッションの一つだ」と述べた。具体的にはプライベートクレジットのほか、プライベートエクイティー(PE、未公開株)、不動産、インフラにそれぞれ15%ずつ配分する考えだ。流動性が低い反面、比較的高いリターンが見込めるオルタナ投資を拡大する。
国内大学の資金は少子高齢化で収入が増えにくい一方、現金保有のままではインフレ下で価値が目減りするなどの構造問題を抱えている。先進的な一部大学を除き、多くは現預金での保有や国内債券を中心とした運用に偏っており、政府が掲げる資産運用立国の方針の下で、運用力の底上げが課題となっている。
文部科学省が4月に公表した実態調査によると、オルタナ資産の保有状況は、国立大学では85法人のうち29%、私立大などでは609の学校法人のうち18%にとどまっている。運用で増やすことができた資金は将来の大学運営の費用などに活用される。
運用資金1000億円目指す
阪大の運用資産の構成は昨年まで、債券などの伝統的資産が約6割、現金が約4割だった。今後は現金は保有せず、オルタナ資産を大きく増やす一方で伝統的資産は4割に減らす。国内外の株式と債券はそれぞれ26%、14%とする方針だ。
長谷川氏は寄付金なども含め、運用対象の「基金をいまの250億円から1000億円程度まで増額させたい」と述べた。阪大では長期資金のほかに、元本確保型の資産を750億円確保している。
海外では数十年前から米イエール大学のほか、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)などの有力大学が、高度な研究開発などの資金を賄う一環として資産運用を強化している。例えば、イエール大では運用資産に占めるオルタナ投資は6割-7割程度と組み入れに積極的だ。
新たな運用体制
大阪府にキャンパスがある阪大は昨年10月、東京都内に資金運用室を設置した。農林中央金庫でオルタナ投資を担当する開発投資部長などを務めた長谷川氏をはじめ、運用経験者が在籍する。
また、4月には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の前理事長の宮園雅敬氏や、阪大出身でナショナル・オーストラリア銀行傘下のNAB証券の木村聡社長らを外部委員として資金運用管理委員会に招いた。運用基盤を整え、リスク管理も徹底しながらオルタナ投資などを進める方針だ。
阪大では、国から世界最高水準の研究力を目指す大学として認められれば、助成などが受けられる「国際卓越研究大学」の認定を目指している。同研究大には法律に基づく方針により、外部資金の獲得を基に大学として持続的成長に必要な運用益を生み出せる独自基金の構築が求められている。
国際卓越研究大には、これまでに東北大学と東京科学大学の2校が認定された。国内では、東京大学や筑波大学といった国公立大のほか、国際基督教大学や東京理科大学など一部の私大も金融機関などでの運用経験者を採用して運用力の向上を図っている。
--取材協力:浦中大我.
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