(ブルームバーグ):米共和党が多数派を占める下院は3日の本会議で、米国・イスラエルとイランとの戦争を停止させることを目的とした決議案を賛成215、反対208の賛成多数で可決した。
米国民に対する経済的な負担が拡大している不人気な対外紛争を巡って、トランプ大統領と袂(たもと)を分かつ形で、大統領には新たな打撃となる。
決議案の可決には、出席した民主党議員全員に加え、共和党議員4人が賛成に回った。民主党が戦争を巡る採決を強行したのは今年4回目だったが、可決に必要なだけの共和党議員の支持を取り付けたのは今回が初めて。
11月の中間選挙を5カ月後に控える中で、戦争への懸念が大統領自身の党内にも広がっていることを示している。ただ、下院での採決結果は、米軍によるイランへの攻撃を終わらせることにはならない。
先月には、戦争終結を求める上院決議案も初めて手続き上の関門を突破したが、まだ正式な採決にはかけられていない。下院が根拠として用いた1973年戦争権限法の規定自体も、法的な解釈を巡って論争がある。
それでも、下院の新たな姿勢はこの戦争を巡ってトランプ氏の孤立が深まっていることを国際社会に強く印象づけるものとなる。暫定的な和平合意に向けた協議は長期化し、中東全域で緊張が高まっている。
米国とイランは再び交戦し、4月初めに停戦が発効して以降で最も深刻な攻撃の応酬となった。
共和党から賛成に回ったうちの1人、フィッツパトリック議員は採決後に対イラン戦争について、「これがインフレ抑制に資するものでないのは明白だ」と述べ、生活費の上昇に苦しむ米国民の負担がさらに重くなっているとの認識を示した。
このほか、同様に賛成票を投じた同党のバレット議員はその理由として、議会の承認を得ない戦闘行為に対して戦争権限法が定める60日間の期限を越えて、この紛争が長期化していることを挙げた。
一方、ジョンソン下院議長(共和)は3日の採決に先立ち、「現時点で政権と最高司令官である大統領から交渉する能力を奪うことは極めて危険な展望だ」と話していた。
戦争開始以降のガソリン小売価格の大幅上昇など、インフレ加速は生活費を押し上げ、消費者の負担をさらに重くしている。米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が5月に実施した世論調査によると、イランとの戦争に踏み切ったのは誤った判断だったと米国民の64%が回答した。
上下両院議員はまた、イランでの軍事作戦の費用についても懸念を表明。補充や修理が必要な弾薬や装備の全容について十分な情報が共有されていないことも憂慮している。トランプ政権はこれまでのところ、追加予算の要請を議会に提出していない。
国防総省のハースト会計監査官代行は5月12日、同時点のイラン戦争の費用が290億ドル(約4兆6400億円)近くに達しているとの推計を議員に示した。ただ、中東での弾薬使用や軍事作戦、部隊展開に伴う莫大(ばくだい)な費用を踏まえると、この数字は過小評価だと外部の専門家は指摘している。
原題:Republican-Led House Votes to Stop Iran War, Rebuking Trump (1)(抜粋)
(本文9段落目に賛成に回ったもう1人の共和党議員の発言、11段落以降に世論調査のほか、戦費を巡る議員の懸念を追加します)
--取材協力:Maeve Sheehey、John Harney.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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