MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険は、高度化する人工知能(AI)を悪用したサイバー攻撃への懸念が強まる中で、企業向けのサイバー保険事業に注力する。関連する保険の販売に加え、事故を未然に防ぐ対策の提案に力を入れる。

海山裕社長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。米アンソロピック社の最新AIモデル「Mythos(ミュトス)」に代表される最新AIモデルの進化に言及し「従来よりも短い時間軸で対応していくのが大事だ」と述べた。「事故が起きても最小限にとどめるようなリスクマネジメントやリスク回避の手法などを提案していきたい」と語った。

ミュトスの開発を契機に、サイバー攻撃が激化するとの懸念が世界で広がっている。基本ソフト(OS)やウェブブラウザーの脆弱(ぜいじゃく)性を特定する高度な性能を持ち、悪用されれば脅威となるためだ。日本でも政府が対策を検討するなど、各国が対応を模索している。

金融庁の伊藤豊長官は2日、ブルームバーグのイベントで講演し、金融機関に対して最新型のAIモデルへの対応を経営課題の中心に据えて体制整備をするよう求めていると明らかにした。

日本損害保険協会が2025年に中小企業の経営者や従業員を対象に実施した調査では、サイバーリスクについて「深刻」だと捉えているとの回答は53%だった。一方で、対策として保険に加入しているとの回答は29%にとどまった。

実際に被害にあった企業の80%はリスクに対する備えが不足していたと回答した。被害にあった企業では、原因・影響調査や関係者対応に費用が生じたり、関連システムの停止による納期遅れなどの不利益を被った。海山氏は、リスクに対する知識の向上も必要だと述べた。

合併新会社の社長に

27年4月には、あいおいニッセイ同和損害保険との合併により「三井住友海上あいおい損害保険」が誕生する。海山氏は新会社の社長に就任する予定だ。正味収入保険料は2社合計で東京海上日動火災保険を超えて国内トップとなる。

合併する2社は同じHD傘下にありながら別会社として発展してきた。オランダや米国に計8年の駐在歴がある海山氏は、異文化の中で、相手のやり方を認めながら仕事をする重要性を体感してきたという。「相手を知り、互いを尊重しながら考えていく。この姿勢が大切だ」と述べた。新会社では、30年度に修正利益で2800億円と25年度から4割増やす目標だ。

(4段落目に情報を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.